ホーム
最新
山梨
全国・海外
スポーツ
Eye
安心・安全情報
おくやみ・催し・人事
写真・動画
分かる・知る
山梨日日新聞社インフォメーションサイト

今も戻れない「一時帰国」

2021年3月23日 15時10分

マプト州マプト市(モザンビーク)大輪莉果

 世界中のJICA海外協力隊員が「一時帰国」となってから、もうすぐ一年がたつ。
 私は2019年12月に、アフリカ大陸南東部に位置するモザンビーク共和国へ派遣された。街を歩けば、現地の人であふれる露天市場、大きな荷物を頭に乗せて歩く人、道端で木板と小石を使ったゲームで遊んでいる人たち。乗車率300%の乗り合いバスや、色鮮やかなアフリカ伝統の布「カプラナ」で仕立てた服、日本のものよりおいしいと噂されるコカコーラ。家族が集合して豪華な夕食を囲む真夏のクリスマス、近所の人が集まりビールを片手に打ち上がる花火を見上げて迎える新年。モザンビークで体験するすべてが私の好奇心をかき立てた。
 私は首都から車で1時間ほどの距離にある中等学校で、情報科目の教員として生徒や先生にパソコンやOfficeソフトなどの使い方を教える予定だった。2年間の派遣に向けて仕事を辞め、ポルトガル語を学び、福島での70日間の訓練を終え、大きな決意を胸に渡航し、これから活動を始めようとした矢先、たった3カ月で帰国となった私の心は、折れた。
 「またここに帰ってくるから」とそのまま置いてきた荷物は、現地スタッフに処理してもらった。胸にはぽっかり穴があいたようで、楽しかった日々を思い出しては涙を流し、はやく戻りたいと願う日々だった。しかし、一時期は減っていたモザンビーク内の感染者も再び増加しており、もはや「一時帰国」ではなく、無情な現実を受け入れて前を向かなくてはならなくなった。
 心の整理に時間がかかってしまったが、いつか世界が日常を取り戻し、再びモザンビークの地を訪れることができるときまで、私は日本でできることを続けたい。
(青年海外協力隊、28歳、北杜市出身)