「弘法も筆の誤り」というべきか。小説や戯曲など「言葉の達人」であった井上ひさしさん(1934~2010年)にして、思い違いをしていたことがあった。冒頭で引用した、「小」が付く場合の言葉を巡って。「小股は(体の)どこにある?」というやり取りに割って入り、「鼠径線(そけいせん)のことだと思う」と答えたというのだ。
だが、何か腑(ふ)に落ちなかった井上さん。「小首を傾げる」「小腹が減る」「小耳に挿(はさ)む」など...
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