50年前に当たる、この日付。いわゆる「三島事件」のあった日である。言うなれば、ライフワークとして取り組んできた『豊饒の海』を完結させた日に、45年の生涯を自ら絶ったのである。
『豊饒の海』は「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の4巻からなる、輪廻転生(りんねてんしょう)をテーマにした遺作だ。各巻の主人公は夭折し、生まれ変わって次の巻の主人公として“再登場”する。一方で、どの巻にも同じ男性(本多繁邦)が年齢を重ねつつ登場し、主人公たちと関わっていく...
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