ホーム
最新
山梨
全国・海外
スポーツ
Eye
安心・安全情報
おくやみ・催し・人事
写真・動画
分かる・知る
山梨日日新聞社インフォメーションサイト

離れても「想い」のバトン

2020年11月19日 8時21分

サンレミギオ(フィリピン)生駒忠大

 約2年間のフィリピンでのボランティア活動を終えて、既に1年以上が経った。フィリピンのコロナ感染者数は今もなお増加を続け、予断を許さない状況だ。11月8日現在、その数は40万人到達も目前であり、インドネシアに次ぐ東南アジア2位にランクインしてしまった。私が滞在した地域においても、田舎といえどもコロナウイルスの影響は波及しており、長いこと移動規制が敷かれたようだ。
 私が所属していた町役場でも、第一波が襲った4月には職員の出勤を週2日にするなどの対策を取っていたと聞いた。そのような状況の中で、有機野菜の試験栽培圃場を職員の手で維持、管理し運営することは容易ではない。この圃場は、私の滞在中に荒地から水牛の力で起こしつくったものだ。元同僚や学校の先生、そして父兄らとの協働作業の結集でかなった成果だった。でも、手間をかけ続けないと、また荒地に戻ってしまう。
 先月、SNSを何気なく見ていると、衝撃的な写真が飛び込んできた。私たちの圃場にレタスやキャベツが秩序立って植えられ、美しく育っているのである。思わず「これはいつの写真?」と聞くと、「今日だよ、Hiro(現地での私のあだ名)」と返事がきた。役場の職員だけでなく現地の農家さんと協力しながら畑を管理し、さらに規模拡大を進めているとのことだった。
 私は、有機農業の技術というものをちゃんと教えられてはいない。しかし、何か、想いのようなバトンは受け継いでくれているのかな、と胸が熱くなった。人との「距離」をとらなければいけない今の情勢に、私はふと彼らとの近すぎる距離が恋しくなる。
(青年海外協力隊員、26歳、北杜市出身)