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<160>「外で遊びたい」尊重を

2020年2月26日
外遊び大好き

外遊び大好き

 先日、ある小学生の母親から「うちの子が外で友だちと遊んでばかりいるんですけれど、いいんでしょうか?」と質問された。
 その子は、それまで友だちがおらず、放課後や休日は家でゲームか動画ばかりだった。クラス替えで友だちができたら、外でばかり遊ぶようになったという。でも、夕飯までには帰ってきて、学校の宿題もやっているとのこと。その母親に「いいじゃないですか! 何も問題ないですよ」と答えてから、ふと考えた。そういえば、「外で友だちと遊んでばかりで困る」という言葉を聞くのは、なんだかすごく久しぶりだ。
 「外で遊んでばかりいて困る」と親が愚痴をこぼすような子どもたちが、わが国ではとても少なくなっている。学校から帰ったらカバンだけ置いてすぐ外に遊びに行く生活というのは、昭和の話だ。都市部の子どもたちは外に遊ぶ場所がほとんどないし、塾や習い事で忙しいので明るいうちに外で遊ぶ暇がない。地方の子どもたちは互いの家が離れているので、遊びに行くには送迎が必要だ。日本全国、子どもたちが外で遊ぶ機会は減っている。子育て中の親たちの世代でも、外で暗くなるまで遊んでいたという経験がほとんどない人もいると思う。昭和の子どもたちは「外で遊んでばかりいないで~」と小言を言われたものだが、現代の子どもたちが言われる小言は「ゲームばかりしていないで~」「動画ばかり見ていないで~」などということになる。
 もちろん、「~」のあとには「宿題しなさい」「早く風呂に入りなさい」などの言葉が続く。多くの親にとって、子どもが勉強や身の回りのことをやらないで遊んでばかりでは、心配なのだろう。でも、それまで友だちがなかなかできなかった子どもに友だちができて、外に遊びに出かければ、親は嬉しい気持ちがあってもよさそうなものだ。考えてみれば、「子どもは外で遊ぶもの」という前提が崩れてしまった現在の日本では、子どもが外に遊びに行くことを不安に感じてしまう親が出てきてもおかしくないのかもしれない。今回相談をしてきた母親は、「勉強もせずに遊んでばかりでは困る」ということではなく、「子どもがこんなに外で遊んでもいいのだろうか?」と不安だったのかもしれない。
 遊びは、大人になるまでの人格形成にとって、とても重要な役割を果たす。外で遊ぶことは、生きていくのに必要な実用的な力を身につける土台を形成する。安全には留意していただきたいが、外で遊びたいという子どもの気持ちはぜひ尊重してほしい。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します