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濁流、土砂 日常をのむ

2019年10月14日 05時00分
台風19号による豪雨で橋の一部が損傷した法雲寺橋 =大月市初狩町下初狩

台風19号による豪雨で橋の一部が損傷した法雲寺橋 =大月市初狩町下初狩

 支柱が川底に沈み、V字形に折れ曲がった橋が目に飛び込んできた。勢力を維持したまま接近、上陸した台風19号で、大月市の国道20号に架かる法雲寺橋は笹子川の増水で壊れ、通行止めになった。同市内ではこのほか、桂川漁協猿橋支部の事務所が水没。13日、県内にも深い爪痕を残した台風19号の被害現場を、2人の記者が歩いた。〈小池直輝、市川和貴〉

 「橋が沈んだ」との連絡を受け、13日午前9時すぎに現場に到着すると、茶色く濁った激流が水しぶきを上げながら、法雲寺橋の支柱に打ち付ける様子が視界に入ってきた。全長約64メートルのコンクリート製の橋が今にも落ちてしまいそうだ。
 車から飛び降りてカメラを向けると、スマートフォンで橋を撮影している近隣住民の姿が目に入った。「身近な橋が台風で壊れてしまうなんて…」。近くの食品販売業の従業員山本奈保子さん(40)は、ぼうぜんとした表情で橋を見つめていた。
 「川の勢いで支柱周辺の土砂がえぐり取られ、柱ごと橋が沈んだとみられます」。国土交通省甲府河川国道事務所の担当者が説明した。近隣住民によると、普段の笹子川は「子どもが対岸まで歩くことができる」ほどの水位だが、12日は橋と同じ約4メートルまで上がったとみられる。
 落ちかけた橋と勢いよく流れる濁流を見ながら、「もし、車や人が通っていたら」と恐ろしくなる。増水した川の勢いのすさまじさを感じた。

 大月市猿橋町猿橋の桂川沿いにある桂川漁協猿橋支部。市役所職員から「漁協の建物が水没した」との情報を聞きつけ、現場に急行した。
 猿橋支部は桂川から10メートルほど高台にある。建物内は冷蔵庫やいすが散乱。支部によると、川の水位は建物まで上昇したとみられ、シャッターを突き破り、テレビやパソコンなどは流されたとみられる。
 来年1月にはアユの放流が予定されており、漁協の萩原剛組合長は「今年中に復旧しないと、来年の解禁期間に影響が出てしまう」と語った。
 桂川漁協猿橋支部が水没したと聞いたとき、「まさか」と耳を疑った自分がいた。その「まさか」が起こっている現状を目の当たりにしたとき、台風の恐ろしさを痛感した。