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<151>里親「家庭養育」充実を

2019年10月9日
社会で見守って

社会で見守って

 皆さんは、「里親」という言葉をお聞きになったことはあるだろうか?
 さまざまな事情で、家庭で実の親が育てることが難しい子どもがいる。そのような子どもたちを、公的な責任で養育することを「社会的養育」という。わが国では、社会的養育の場として、乳児院や児童養護施設などが長年にわたって中心を占めてきた。このような「施設養育」に対して、家庭またはそれに準ずる少人数の住居(ファミリーホーム)で行うのが「家庭養育」である。わが国の里親制度では、国の定めた所定の研修を受けた里親が、自治体から委託されて家庭養育を行うことになっている。里親が子どもと養子縁組し、戸籍上の親子となる場合もある。
 今年10月に出された厚生労働省の資料によると、2017年度末時点で児童養護施設、乳児院、里親やファミリーホームで育てられている子どもは、全国で約3万5千人。そのうち里親とファミリーホームに委託されている子どもの割合(里親委託率)は19・7%だった。07年度末時点では10%だったので、倍近くに増えている。それでも、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中では最低の水準だ。欧米では里親委託率が50%を超えている国が多い。おとなりの韓国も4割を超えている。
 僕は英語圏の海外ドラマをよく見るが、その中で里親や養子縁組の話はしばしば出てくる。子どもを育てたいという男性の同性婚カップルが、養子を迎えるために自治体の児童福祉担当者の審査を受けているというドラマのシーンを見たことがあるが、それはドラマの本筋ではなく、ちょっとした家庭の事情といった扱いであった。日本だと、同性婚カップルが養子縁組するということだけで十分にドラマの主題になり得るだろう。
 施設養育と家庭養育は、一概にどちらが優っているとはいえない。ただ、わが国の現状は、家庭養育の場がまだまだ不十分であるとはいえるだろう。経済的な事情や親の病気などで実の親がどうしても子どもを育てられない場合もあれば、子どもを養育することにやりがいを感じる人たちもいる。そのような人たちのマッチングが進めば、より多くの子どもたちが家庭のような感覚で安心して過ごせる生活拠点ができるはずだ。
 厚生労働省では、毎年10月を「里親月間」と位置づけ、里親制度やファミリーホームを推進するための集中的な広報啓発を実施している。里親や養子縁組に関心のある方、逆に育児が困難な事情を抱えている方は、各自治体に問い合わせてみていただきたい。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します