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<148>話し合いにも見本必要

2019年08月28日

 学校では、話し合いの時間が必ず設定されている。意見を出し合い、自分の意見と他者の意見とを比べながら、より良い意見へと磨き上げていく。うまくいけば、ひとりでは考えつかないような発想が出ることがあるし、みんなで立てた方針で協力して、充実した活動へと発展することがある。社会に出てからも、誰かと話し合って何かを決めることは、極めて重要だ。
 しかし、大人でも、話し合ってもなかなかうまくいかないことは、たくさんある。子どもならなおさらだ。ただ自分の意見を言い合うだけだと、「船頭多くして船山に上る」のことわざのようになってしまう。
 例えば、何かの活動の後に、「ふりかえり」「反省会」などを行うことがある。計画通りに活動が行われたか、予想以上にうまくいったことはあったか、予想外の問題はなかったか、反省すべきことはあるか、などについて意見交換をするのだ。
 やったことをやりっぱなしにせず、できたこととうまくいかなかったことを整理する作業は、とても大切なことだ。でも、ときどき何のためにふりかえりをやっているのか分からないような場面に遭遇することがある。例えば、全員に一言ずつ発言してもらう形式。パーティーのスピーチならそれでよいが、ふりかえりで全員に発言を求めると、「反省点を少なくとも一つは挙げなければならない」という雰囲気になりかねない。
 すべて計画通りに進み、何も問題なく終わったときは、みんなで達成感を共有し、自信を高めればよい。「万事うまくいってよかったね! 以上。」でふりかえりはおしまいでよいと思う。いつも反省点を探させていると、何をやっても自信が持てなくなってしまうおそれがある。本当に問題点があったときにはそれを適切に指摘する必要があるが、うまくいったときは「問題なし」と判断できることが大切だ。でも、子どもたちにそのような判断をさせるのは、まだ無理だろう。
 何でも生徒たちだけで話し合わせるやり方だと、話し合いが形骸化して、かえって自信をなくし、話し合いの意義を学べずに終わる可能性がある。子どもたちが「話し合ってよかった」と感じて話し合いを終えるためには、先生が入念な準備と丁寧な指導をしなければならない。何について話し合うのか、その時間に何か決める必要があるのか、意見が対立したときにはどうするのか、などについて、先生から生徒たちにある程度の見通しを伝え、場合によっては話し合いの仕方について見本を示す必要がある。
(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します