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<147>一律の宿題、課す意義は

2019年08月14日

 夏休みである。今年も多くの学校で夏休みの宿題が出されている。
 以前にもこのコラムで述べたが、義務教育で全ての児童生徒に対して同じ難易度、同じ量の宿題を一律に出すのは差別行為であり、このやり方を続ける限り、「宿題は百害あって一利なし」である。学力、興味などが一人ひとり違うのに全員に同じ宿題が出されると、子どもの負担感には大きな個人差が出るからだ。
 一方、そのような実情をわかりにくくさせることがある。それは、ほぼすべての子どもがどういうわけか夏休み後にはちゃんと宿題を提出しているという事実だ。なぜそのようなことが起こるかというと、多くの家庭で子どもの宿題を親が手伝っているのだ。近年、いろいろな教育関連団体が行っている親へのアンケート調査を見ると、夏休みの宿題を多少なりとも手伝っている親の割合は6割~8割というデータが多い。中でも自由研究を親が手伝う割合が高い。「自由」な課題なのに親が手伝わないといけないというところに、この問題の深刻さがうかがわれる。学校の先生たちは、この実態をどの程度把握しているのだろう?
 高校以降の宿題は、本人の選択したコースの中で出されるものなので構わない。むしろ、本人が望んで進学しているのだから、ある程度は必要だと思う。高校以降の宿題を手伝っている親も、あまりいないだろう。僕がことさらに問題視しているのは、義務教育という、子どもに選択の余地のないカリキュラムの中で、個々の学力や興味の違いを全く考慮せずに一律の宿題を出すことの害悪だ。過半数の親が手伝わないといけないような宿題を漫然と出し続けることは、きわめて重大な問題だ。
 それでもなお、「親の協力のもとで何かに取り組む経験は大事だ」などという意見が出てくることがある。そこで一つ提案したい。「宿題を全く出さないクラス」「個々の子どもの学力や興味に応じて宿題を出すクラス」「一律にほぼ全員がすぐこなせる程度の簡単な宿題を出すクラス」「一律に過半数の生徒が難しいと感じる宿題を出すクラス」をランダムに振り分けて、それぞれ子ども1人でやる群と親に手伝ってもらう群とに分けて、宿題がどの程度できたか、その後の学力、意欲、自信、忍耐力への影響はどうだったかなどについて比較調査するのだ。
 わが国の教育行政は、このような科学的検証をほとんど行わずに方針を決めているところが問題である。宿題のあり方について、科学的根拠(エビデンス)をぜひ示してもらいたい。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)