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<141>叱る回数配慮で減らす

2019年05月08日
さりげなく先回り

さりげなく先回り

 ヨチヨチ歩きの子どもの親は、子どもからいつも目を離さない。段差のあるところを避けるなど、安全に気を遣う。そのような場所で子どもを自由に歩かせると、ケガをするリスクが高いことを、いつも予測している。
 でも、親も人の子。慣れてくると油断する。子どもがしっかり歩けるようになり、ある程度の言葉もわかるようになると、親は子どもから目を離すことが増える。危ない場所が近くにあっても、「あっちへ行ってはダメだよ」と声を掛けるだけになることが多い。それでも、だいたいは何事も起こらない。
 しかし、子どもの行動は、理屈通りにいかないことがある。急にやりたくなること、はしゃぎすぎて親の注意を忘れてしまうこと、カッとなり衝動的に行動することなどが、しばしばある。そんなとき、親は「ダメだと言ったでしょ」などと叱ることになる。ごくまれにそういうことがあるのは仕方ないが、毎日のように「ダメだと言ったでしょ」と繰り返す場合、口頭注意と叱責だけで改善できる段階ではないということだ。
 衝動的ないたずらへの対応も同様だ。いたずらしたくなるような物を目に見えるところに置いておけば、子どもは出来心でいたずらしてしまう。「ダメだと言ったでしょ」と繰り返し叱っても、また同じいたずらをやってしまう子どもの場合、口頭で説明し、やってしまった後に叱るという対応の繰り返しで効果を期待できる段階までには成長していない。
 このような時期に親がやっておきたいのは、子どもの行動を親の期待よりやや悪い方向に予測する習慣を持つことだ。「言えばわかるはず」と期待するのであれば、「でも、わかっているようでいて、失敗やいたずらのリスクもかなりある」と予測するのである。ケガをするリスクのありそうな場所や、長時間待たされてダダをこねそうな場所には連れて行かない。見たら盗み食いしそうなお菓子は、子どもの目に入るところに置かない。歩道を歩くときも、車道側に親が立って手をつなげば、歩道との段差につまずいたり飛び出したりするリスクが多少減る。こうしたさりげない配慮を少しするだけで、危険な行動やいたずらが予防でき、叱る回数が多少は減らせるはずだ。
 いつも小言を言われている子どもは、それに慣れてしまうので、叱られても心に響かない。子どもの行動を予測して、さりげない自然な配慮で叱る機会を減らし、うまくできたことを褒める機会を増やしていきたい。そうすれば、たまに叱ったときに子どもの心に響きやすくなる。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します