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<136>特別扱い拒否する心理

2019年02月27日

 前回の続きである。
 何らかのハンディキャップのある子どもに特別な配慮をするのは当然であり、法律でもそれを定めていることを前回述べた。しかし、今でも「ひとりだけ特別扱いできない」と言って配慮を拒否する教員がいるのも事実だ。「特別扱い」とは、一体どのようなことを指すのだろうか?
 前回、華族の家系の子どもを他の子とは別のクラスにするような待遇は、特別扱いだと述べた。公立小中学校で、このような特別扱いをするのは筋違いだと思う。でも、実際にはどうだろうか? 案外、地元の有力者の親族がいる場合など、教職員が無意識にその子を特別扱いしていることはないだろうか? そして、それを他の生徒や保護者たちも「あそこの家は特別だからね」などと言って納得してしまってはいないだろうか?
 実は、「ひとりだけ特別扱いできない」と発言することのある教師は、その言葉をむしろ立場の弱い相手にこそ言っていると思う。もし、これを読んでいる方の中に学校の先生がいたら、ご自身や周囲の同僚の先生たちの言動を振り返ってみてほしい。ハンディキャップのある立場の弱い人が、少しでも他の人と同じ条件に近い形でクラスに参加しようと頑張っているときに限って、「特別扱いできない」と言って拒否したくなる先生はいないだろうか? これは、弱い者いじめではないか!
 前回の本コラムを読んだ方から、「前例がないからできない」という発言もよく耳にする、というコメントをいただいた。これも同じ心理が働いている。弱い立場の者が新しい試みをするなんて、生意気千万というわけだ。
 弱い者いじめは、相手の希望や要求を自分の一存で退けることのできる立場の人に生じやすい。だから、上下関係や序列志向の強い人は、自分より上の立場の人に阿り、自分より立場の低い人を理不尽にもてあそぶ。この構図は、パワハラ、モラハラ、DV、虐待など、さまざまな暴力的・支配的人間関係に共通の原理だ。
 立場の強い人の特別扱いはむしろ無条件で黙認し、立場の弱い人の正当な希望の芽を摘むような教師のもとでは、クラス全体に弱い者いじめを黙認する雰囲気が生まれても仕方ないだろう。その教師自身が心の奥底に強い攻撃性と暴力への指向性を抱いているのだから。
 特別扱いを拒否するのは、他の子と公平にすることではなく、むしろ他の子より立場の低い子を一部につくって、いじめの対象にする心理が働くからである。その認識を、ここで共有しておきたい。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します