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<135>「配慮」拒めば法律違反

2019年02月13日

 「ひとりだけ特別扱いはできない」と公立小中学校の教師が保護者に対して言うことは、しばしば法律違反になることを、学校の先生方はご存じだろうか?
 「うちは華族の家系なのだから、平民出身の家の子どもたちと同じ教室にしないでほしい」というような保護者がもしいれば、「公立小中学校でそのような特別扱いはできません」と言っても何も問題ないだろう。公的サービスというのは、原則として必要最低限の社会参加を保障するものなので、それ以上の待遇を求めるのは筋違いだ。
 僕が問題にしているのは、個人の努力ではどうしようもないハンディキャップを持っており、特別な配慮がなければ他の生徒と同程度に必要最低限の社会参加することが難しい生徒に対する特別扱いだ。
 例えば、口頭の説明は十分に理解できるけれども字の読み書きが極端に苦手な学習障害という障害がある。学校では教科書を読み、ノートに字を書く形で授業が進められる。学習障害があると、内容的には授業についていけるのに、読み書きさせられるために授業への参加がつらくなることがある。このような生徒のために、現在ではタブレット端末で教科書の音読をしてくれる教材が出ており、授業参加が促進されている。「障害者差別解消法」という法律の中で、このような配慮は「合理的配慮」として明記され、公立の学校や事業所では義務化されている。
 しかし、学習障害の生徒が授業中にタブレット端末を使うことを拒否する教員が、今でもときどきいる。そのときによく聞く理由が「ひとりだけ特別扱いできない」というものだ。同様の話は、自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症などの発達障害の生徒に多い。必要最低限の社会参加のために必要なことを「華族の子孫のわがまま」のように扱われ、傷ついて学校に行けなくなる子どもを、僕はたくさん診ている。
 近視で遠くの字が読めない生徒がいた場合、本人や保護者の希望があれば席を前方にするだろう。制服や体操着も、生徒の体格に合わせてサイズを選べる。このように学校では、「合理的配慮」などという言葉が出てくる前から、生徒一人ひとりの事情に応じた個別の配慮を行ってきた。発達障害への配慮も、できないことではないはずだ。
 配慮に相当な負担がかかるようであれば難しいと言ってもよいが、負担が少ないはずなのに「特別扱いできない」という理由だけで拒否するのは、障害者差別解消法に違反することになる。そのことを、ぜひ心得ておいてほしい。(本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します