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食事は隣人とシェア

2018年12月17日 09時26分

サンレミギオ(フィリピン)生駒忠大
 フィリピン・アンティケ州での生活も1年が経過した。現在、私は人口3万人ほどの山岳地域のサンレミギオの町役場農業事務所に所属し、有機農業振興のために活動している。標高900メートルほどに位置する試験ほ場での主な栽培作物は、まだフィリピンでは目新しいレタスやセロリといった高付加価値換金野菜。地域住民への技術移転とそれが生む生計向上を目指して、同僚たちと汗を流す日々だ。
 地域住民コミュニティーに溶け込むように努めて生活をしていると、1年以上が経過した今でも興味深い文化的発見が絶えない。特に印象的かつ重要と見られる価値観に、「食事は隣人とシェアすべきもの」というのがある。何かを食べているときは、身内同士はもちろん、全く見ず知らずの人に対しても「igma!(昼食にしよう!の意)」というように声をかけるのが礼儀だ。
 フィリピンでは、誕生日には遠縁の親戚や近隣住民にも家を解放して食事を振る舞うのが恒例。また、バランガイと呼ばれるフィリピンの最小行政区では年1回フィエスタと呼ばれる祝祭が開かれ、この祭典では異なる周辺バランガイの人を招いて食事を振る舞うので住民は朝から大忙しになる。
 1521年のマゼラン到来以降、フィリピンは、国民の9割をその信者とする東南アジア唯一のクリスチャン国家になった。スペインの300年以上に及ぶ支配、アメリカ、一時は日本の統治と、長いこと強力な外部介入の下で発展してきた。隣人との食事のシェアは、そういった中で宗教的意味合いを帯びながら育まれた文化であり知恵かもしれない。
(青年海外協力隊員、24歳、北杜市出身)