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<131>「1回休み」で心に余裕を

2018年12月12日

 仕事の期限が近づいているときに体調を崩したとしよう。このまま頑張り続けると、体調不良が悪化するかもしれない。コンディションが不十分だと仕事の質も下がる可能性がある。いったん休みを取って、しっかり体調を整えてから改めて仕事を再開する方が、良い仕事ができるかもしれない。ただ、体調が回復するのを待っていると、期限までには仕事が完成しない恐れもある。質は悪くても期限までに仕上げることを優先するのか、それとも期限は延長してもらって質の良い仕事をするべきなのか、そこの判断が重要となる。
 学校に通う子どもが病気にかかったときも、同様の問題が生じる。多少の体調不良であれば頑張って学校に行く方が、授業に取り残されずにすむ。でも、無理をして登校しても授業が頭に入らないし、かえって体調を悪化させて長期に休まなければならなくなるかもしれない。病気がまだ軽いうちにしっかり休んで体調を整えた方が、復帰してからの学業の挽回はむしろしやすいかもしれない。
 不登校の子どもも同様だ。そのほとんどは、決して遊びたくて学校をサボっているのではない。学校生活になんらかのストレスを感じている子ども、学校で辛い体験をして行けなくなった子ども、家庭内にトラブルや悩みを抱えて外に出る意欲が低下している子どもなど、さまざまな事情を抱えている子どもが多い。さらに、学校を休むことによって授業などから一人取り残されるという不安も加わる。不登校の子どもたちの多くは、心が不調の状態にある。
 無理をして登校させようとすると、心の不調が悪化する恐れがある。思い切ってゆっくり休ませて、その間に親と教師が協力して不調の要因を探り、対策を立てるのが、不登校の対応の原則だ。
 しかし、学業の遅れが気になるあまり、当初は無理をして学校に通わせようとする親も多い。その結果、初期対応を誤り、心の不調が一層悪化してしまう。子どもが辛いと感じているのに親や教師が無理をして学校に通わせた結果、燃え尽きてひきこもりになったというケースも、決して少なくない。
 誰にでも、病気になる可能性や学校が辛くなる可能性はあり得ることだ。その時に、いったんは休んで体や心の調子を整えることを選択できるかどうかは、その後の人生に大きく左右する。一時的に足踏みや回り道をすることになるが、それでも調子が回復すれば、その後には健康的な人生に戻れる可能性が十分にある。長い目で見て対策を考えたい。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します

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