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<124>すべきこと、したいこと

2018年08月22日
夏休みの終わりに…

夏休みの終わりに…

 夏休みも終盤になると、子どもたちの気持ちは複雑だ。
 「いつまでも夏休みが続いてほしい」という気持ちが強い半面、「ヒマ過ぎて退屈。そろそろ学校に行ってもいいかな」という気持ちもある。たまに、学校が大好きで「夏休みは短くていい。早く学校が始まってほしい」と願っている子どもがいて驚くこともある。それほど子どもが学校を心待ちにするなんて、どれだけ素敵な学校なんだろう!
 人がやることはほとんどすべて、「やりたいこと」か「やるべきこと」かのどちらかだ。「遊びたい」と「学校に行くべき」のように、これらは対立することもある。でも、それだけではない。例えば、サッカーが好きで、将来スポーツ選手になりたい(やりたいこと)から、そのためにきついダッシュの練習(やるべきこと)を繰り返す子どももいる。
 夏休みも同じだ。前述の子どものように学校を楽しいと思えていれば最高だが、そうでない場合でも、それなりに目標ややりがいを学校生活に感じることができている子どもは、十分に夏休みをとった後であれば、学校生活に戻ることを苦には感じない。
 一方で、学校に目標ややりがいを感じられない子どもたちにとって、夏休みが終わることは恐怖だ。夏休み後にそのまま不登校になる生徒もしばしばみられる。やるべきこととして課せられていることが、自分にとってあまりにも強大で太刀打ちできないと、憂うつで、夏休みも十分に休めた気がしない。
 やりたいこととやるべきことのバランスは、とても大切だ。乳児期の子どもはやりたいことだけやればよく、やるべきことはほとんどない。でも、年齢が上がるにつれ、やりたいことばかりでは許してもらえず、やるべきことが増えてくる。学校の授業も、小学校低学年のうちは子どもたちに楽しく学ばせようと工夫する先生が多いが、中学、高校の授業では楽しいかどうかはあまり問われなくなる。
 それでも子どもたちが学校に通うのは、勉強すれば自分のやりたいことが高いレベルで達成できるはずだという見通しがある場合だ。その見通しが持てている子どもは、やりたいこととやるべきことのバランスを自分でうまくとれるようになる。しかし、その見通しが不十分な子どもは、やりたいことだけに固執したり、逆にやるべきことを頑張り過ぎて燃え尽きたりする。
 夏休みが終わろうとするこの時期は、やりたいこと、やるべきことのバランスを子どもがうまくとれているかを確認する良い機会かもしれない。
 (本田秀夫・信州大医学部子どものこころの発達医学教室教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します