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<112>「約束」強要より会話を

2018年02月28日
指切りげんまん

指切りげんまん

 親子でこんな会話をした経験はないだろうか?

子ども 「ねえ、〇〇というゲームソフト買って」
親   「今度ね」
(何日かして、ショッピングモールで)
子ども 「〇〇を買ってよ」
親   「だめ」
子ども 「買ってくれるって、この間約束したじゃないか」
 次の会話はどうだろう?
親   「ゲームは1日30分ね」
子ども 「うん」
(翌日の夜に)
親   「もう30分たったから、ゲームはやめなさい」
子ども 「もうちょっと」
親   「ゲームは1日30分って、約束したでしょう」
 高校生の子どもと親の会話だと、こんなのもあるだろう。
親   「どこの大学を受験するの? A大学は良いと思うんだけど」
子ども 「そうだね」
(数カ月ほどして)
子ども 「A大学は自分には向いてないと思うから、B大学にしようかな」
親   「A大学にすると自分が決めたんだから、諦めないでがんばりなさい」

 親の立場だと、一つ目の会話だけは子どもの主張がおかしいと思うだろう。「今度ね」とは言ったが、さっそく数日後に買えと言われても困る。一方、子どもの立場だと、二つ目と三つ目で親の言っていることが理不尽に思える。「ゲームは1日30分」という約束が毎日続くとは思っていなかった、志望校を途中で変えてもいいではないか、というのが子どもの言い分だ。一方が約束の実行を強く求めているのに対して、相手は約束にそれほど拘束力があると思っていないところが、三つの会話の共通点だ。
 子どもは、約束を守るように教えられる半面、一つ目の会話のように人生の早い時期から「親が約束を守るとは限らない」という体験もしている。小中学生で大人の世界が少し見えるようになると、選挙の公約が簡単にほごにされたなどと非難し合っている大人がたくさんいる。そのくせ大人は子どもに対して「約束」と称して多くの要求を押しつけてきて、守らないと責めたてる。
 子どもが大人のことを「約束を守るとは限らない人」と思っている可能性があることを、親は知っておく必要がある。でも、約束に対する思い入れには、温度差がある場合もある。約束を守ることは重要ではあるが、それにとらわれ過ぎて状況の変化に柔軟に対応できないのも問題だ。大事なのは、約束を守ることを強要し合うことよりも、コミュニケーションを続けることだ。日頃から親子がお互いの考えを率直に話せる環境を作り、お互いに納得しながら物事を進めることが大切だ。そのためには、一方的に約束を強要する関係にならないよう、親が日頃から気をつけておきたい。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します