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<110>「plan B」用意が大切

2018年01月24日
道は1本じゃないさ

道は1本じゃないさ

 英語の映画やドラマでは、よく「plan B」という言葉が出てくる。例えばスパイ映画で、何かの作戦がうまくいかないときにplan Bに変更する、といったシーンがよく出てくる。やや無謀なキャラが主人公のドラマなどでは、窮地に追い込まれて仲間に「plan Bは?」と聞かれた主人公が「そんなものはない」と言って破れかぶれで打って出るような場合もある。いずれにせよ、何か計画を立てるときには、複数の案を用意しておいて、もし第一案がうまくいかなくても必ず別の案を用意しておくのが標準的な考え方、という前提があるように思う。
 子育ての領域でも、何かに取り組むときに複数のプランを考えておくことは、大切なことだ。例えば受験のとき、志望校を複数考えておいて、第1志望に合格できない場合でも第2志望に合格すればそちらに進学する、というようなことは、よく行われている。でも、ときどき子どもたちにplan Bを示さずに「これがうまくいかないと、もう後がないぞ」と追い込むような接し方をすることが、大人にはあるように思う。
 例えば、「高校くらいは出ておかないと、将来困る」「今の成績では、行ける高校がないぞ」「野菜を食べないと、病気になるよ」などの言葉がそうだ。実際には高校中退でも立派な社会人になっている人はたくさんいるし、今の時代、どんなに成績が低迷している生徒でも受け入れてくれる高校がある。野菜を食べなかったことだけが原因で深刻な病気になった人はいない。これらの言葉の問題点は、「失敗は悪であり、絶対に許されない」と教えてしまうことなのだと思う。つまり、「人生にplan Bはない」という価値観を、知らず知らずのうちに植え付けてしまうのだ。
 「転ばぬ先のつえ」ということわざがあるように、明らかに失敗するとわかっていることを回避して慎重に事を運ぶことは、たしかに大事なことだ。でも、失敗するかどうかはやってみないとわからないこともたくさんある。子どものうちは、本人が予期せずに失敗してしまうこともたくさんある。大人が子どもに教えるべきことは、もし失敗してもplan Bを用意しておけばよいという考え方だと思う。失敗は悪だと教えると、ちょっとの失敗ですぐに心が折れてしまうようになる。ちょっと失敗してもいちいち注意したり叱ったりせず、すぐに代替案を提示して常に明るく前向きな姿勢を保つ方が建設的だ。「転ばぬ」ことを教えるのでなく、「転んでもただでは起きない」ことを教えていきたいものだ。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します