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忍野八海に山中湖の水 山梨大助教が解析

2018年01月13日 05時00分
中村高志助教が山中湖の水が流入しているとした忍野八海の池の一つ湧池=忍野村忍草

中村高志助教が山中湖の水が流入しているとした忍野八海の池の一つ湧池=忍野村忍草

中村高志助教

中村高志助教

 忍野八海(忍野村)で、出口池を除く七つの池で採取した水の同位体の重さが、富士山麓の地下を流れる伏流水と、山中湖の湖水の中間に近いことが12日までに、山梨大国際流域環境研究センターの中村高志助教(36)の研究で分かった。通説では忍野八海の水は富士山の伏流水とされているが、中村助教はこの値から「忍野八海に山中湖の水が流入している」と結論付けた。
 水質学などが専門の中村助教によると、同位体とは化学的性質は同じでも質量が異なる原子のこと。同位体の重さは水によって異なるため、水分子に含まれる同位体を調べることで、その水の起源が特定できるという。
 中村助教は2013年から県総合理工学研究機構の補助金を活用し、忍野八海の各池の同位体を解析。忍野八海の水は、富士山の雨や雪が地下にしみ込んだ伏流水という通説を前提に、雨の同位体の重さと各池の同位体の重さを比較した。この結果、出口池を除く湧池など七つの池は雨よりも重い傾向にあった。
 一方、忍野八海から約2・5キロ離れた山中湖の水は、雨より重い同位体が多く含まれており、忍野八海のうち七つの池の値は、雨と山中湖の値の中間にあった。
 山中湖は忍野八海より標高が約40メートル高い位置にあり、中村助教は「七つの池には伏流水以外に山中湖の水が流れ込んでいる」と結論付けた。ただ、どのように忍野八海に流入しているかは分かっていないという。中村助教は「山中湖から桂川に流れ出た水が地面にしみ込み、忍野八海付近で再び湧き出ている可能性、山中湖と忍野八海が地下のどこかでつながっている可能性などが考えられる」と話す。
 水理地質学などが専門の富士山科学研究所の内山高研究管理幹によると、山中湖の水が忍野方面に地下を通じて流れていることは、過去の研究から分かっていたという。ただ、山中湖と忍野八海の水の関係について調査はされておらず、内山さんは「忍野八海に山中湖の水が混じっている可能性が、科学的に示されたのは今回が初めて」と話す。
 中村助教は「研究結果から山中湖の水を守ることは、忍野八海の水を守ることにつながる。水の循環が把握できたことで、環境保全の面でも役立つ」と話した。〈笠井憂弥〉