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<109>二つの要因 発達に影響

2018年01月10日
健やかな成長を願って…

健やかな成長を願って…

 子どもの発達に影響を与える要因には、遺伝や素質などの先天的なものと、親の育て方や本人の努力などの後天的なものとがある。人の個人差の多くは先天的要因によるが、それだけで発達のすべてが決まるわけではない。一方、すべての子どもが育て方や努力次第でどのようにでも育つという考え方は、個性を否定し、的外れで画一的な教育の押しつけにつながりかねない。実際には、先天的要因と後天的要因は、常に絡み合いながら、どちらも発達に強く影響を及ぼしている。
 誰かの人物評価をするとき、われわれは先天的要因と後天的要因のどちらかに比重を置きがちである。「Aさんは、頭がいい」と言うときは素質をほめており、親の育て方や本人の努力にまでは言及しない。「Bさんは、礼儀知らずだ」と言うときは親の育て方を批判するニュアンスがある。傾向としては、ほめるときには素質の話が多く、批判は親の育て方や本人の努力に対するものが多いように思う。
 子どもは、年齢が低いほど好きなことや得意なことに夢中になる。気に入った玩具は上手に遊べるようになろうと一生懸命努力するし、興味をもったことは熱心に調べる。だから、好きなことや得意なことを思う存分にできた子どもは、才能が開花すると同時に努力する習慣も身につく。親も、育てがいがある。先天的要因と後天的要因がうまくかみ合ったとき、人の個性は飛躍的に成長する。
 一方、子どもは嫌なことや苦手なことをやりたがらない。学童期ごろからは嫌なことでも努力するようにはなるが、頑張った割には上達せず、親からは努力不足と思われる。そういう親も、他者からは育て方が悪いと批判される。親が無理せず上手に教えることによって、苦手なりに大嫌いにはならずにすむときもある。大嫌いにならなかったのは育て方と本人の努力のおかげなのに、それでも得意にまではならないと、他者からは育て方や努力不足を批判されかねない。このように、先天的要因と後天的要因がうまくかみ合わず発達が順調に見えない場合、批判の矛先は育て方や努力に向きがちである。
 どんな人にも生まれつき得意・不得意はあり、それぞれに対して本人なりに努力はするものだ。親もそれなりに頑張って子育てしている。素質さえあれば万事が順調にいくわけでもないし、育て方の悪さや努力不足だけが問題の原因というわけでもない。人物評価は時に必要だが、何か問題があるときに一つの要因だけで安易にわかった気になって批判することは、慎みたい。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します