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<106>「だらしない」が健康的

2017年11月22日
家ではのんびり

家ではのんびり

 「子どもが何でも親まかせで、だらしなく、口答えばかりするので困る」という相談を受けることがある。このままでは将来ちゃんと自立できないのではと心配なのだ。
 そんな相談を受けたとき、僕は必ず次の質問をする。「学校(幼稚園・保育園)ではどうですか?」と。すると、「学校ではやるべきことをやっているから問題ないと言われるんです。うちの子は外面ばかりよくて…」などと返事されることが多い。この場合、僕はさらに質問する。「お子さんは、学校(幼稚園・保育園)が好きですか?」。好きなようであることを確認したら、僕はこう言う。「では、家では自由にさせておいてください」と。
 学校や幼稚園・保育園が好きで、どんな活動にも率先して参加しているという子どもは、家で何もせず親の言うことを聞かなくても、ほとんどの場合は全く問題ない。大人でも、外で仕事をきちんとこなしている人が家で何をしようと、法に触れなければ社会人として問題はない。一般に、外で活動するときは他の人たちに気を配りながら社会性を発揮し、自己コントロールすることが求められる。それに比べて、家では誰にも気を使うことなくのんびりと過ごしたいのが人情だ。外でつらいのを無理に頑張り過ぎて家で全く無気力になってしまうのは問題だが、外で楽しく充実していれば、家で最も重要なのは心のリフレッシュだ。子どものうちは、だらしないくらいが健康的なのだ。
 外で充実した活動をしていることを知らずに、あるいは見ようとせずに、自分が直接見ている子どもの様子だけですべてを判断することは、慎むべきだ。特に、親の前で聞きわけがよい子どもにしつけようとするのは、むしろ危険であることすらある。最も安心してリラックスできるはずの家が、むしろ緊張を強いられる場になってしまうと、子どもには逃げ道がない。そのストレスを外で発散させて、対人トラブルや非行につながることもある。その意味で、家では何も問題ないのに、学校で教師の言うことを聞かずトラブルが多い子どもの方が、むしろ問題だ。
 人は、24時間365日、ずっと緊張が続く状態だと、心が持たない。家でも何ひとつワガママ言わず聞きわけがよく、外でも真面目だと、どこで気分転換しているのだろうと心配になる。大人は、自分の前にいるときの子どもの様子を見るだけで判断するのではなく、自分には見えていない場面の様子についても情報を得ながら、トータルに子どもの心の健康を考えたいものだ。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)