ホーム
最新
山梨
全国・海外
スポーツ
Eye
安心・安全情報
おくやみ・催し・人事
写真・動画
分かる・知る
ビジネス

<102>「物足りなさ」 継続の力に

2017年09月27日
好き?嫌い?

好き?嫌い?

 何かを継続したいと思ったら、1回1回を「少し物足りない」と思うくらいでやめておくのがよい。もっとやりたいという気持ちが継続する意欲につながるからだ。
 少し物足りないと思うタイミングは、内容によって異なる。好きなことは、始める前から楽しみだし、やっている間も楽しい。かなり長時間やっていても、終わりの時には物足りない気持ちが残る。次回が楽しみで、他のことをやっている時も、折に触れて楽しかったことを思い出したり、次はどうしようかと想像をふくらませたりする。このようにして、意欲がますます高まっていき、結果として学習が加速する。
 一方、嫌いなことは、始まる前から意欲がもてず、やっていても楽しくない。終わりの時間が来るのを今か今かと心待ちにして、終わったらしばらくの間はそのことを一切考えたくない。どんな子どもでも、本人の努力や大人の教え方の工夫ではどうしようもない、相性が悪いとしかいいようのない、大嫌いなものが、必ずある。そのようなものは、ほんのちょっとやっただけでもつらいし、終わる頃には「もうこりごり」という感情しか残らない。結果として学習はなかなかはかどらない。
 日常生活では、子どもが好きでもないが嫌いともいえないことが最も多い。そのような場合、大人が誘い方や教え方を工夫することによって、少なくとも拒否感をもつことなく始めることは可能かもしれない。ただ、やらせ過ぎるとだんだんうんざりしてくる。子どもがちょっと興味を示したからといって、大人がしつこく誘ったり教え続けたりしていると、終わる頃までには子どもが辟易してしまい、続ける意欲が萎えてしまう。好きでもないが嫌いともいえないことを、子どもが「少し物足りない」と思うくらいでやめられるかどうか。そこが、教える大人の技量が最も問われる部分だ。
 大好きなことはどれだけ長くやっても物足りなく感じ、大嫌いなことは1分1秒でもうんざりする。好きでも嫌いでもないことは、その中間だ。だから、大人が子どもに何かを教えるときは、個々の課題ごとに、「もっとやりたい」と子どもが思うくらいのところで終えることをいつも考えておく必要がある。好きなことはより長めに、好きでないことは子どもが魅力を感じるよう工夫しながらも、短めに終わらせることが重要だ。学校の勉強も同じ。全員一斉に同じ内容の課題を同じ時間やらせるようなやり方では、多くの子どもから継続する意欲を奪ってしまうので、ご注意願いたい。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します