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<100>親対応で消耗させない

2017年08月23日
ラストスパート!

ラストスパート!

 この連載も今回で第100回。当初、こんなに続くとは思っていなかったので、感慨深い。まだ続けますので、今後もよろしくお願いします。
 さて、夏休みも終盤。ご家庭では、こんな光景が繰り広げられていないだろうか?
親「いつまでゲームをやってるの? 宿題は?」
子「後でやる」
親「いつもそう言うけれど、やらないじゃない。ゲームをやめなさい」
子「うるさいなあ。本当にやるから。あっ、何するんだよ。まだ途中なのに。やる気なくなった。宿題ができないのはあんたのせいだからな」
 この子どもの言っていることは、正論だ。
 頭を冷やして考えてみよう。子どもがその日、多少なりとも宿題に取り組む確率は、親の干渉によってどう変化するだろうか? 理想としては、ゲームをやっている子どもにちょっと促すと、「ああ、そうだった」と子どもも納得して宿題をやってほしいところだ。でも、これがうまくいく確率は案外低い。
 全く何も言わずに放置していると、その日はやらないで終わるかもしれない。でも、いよいよ明日から学校が始まるという時には、なんとかしようと自分から試みるものだ。土壇場で少し親が手伝ってやれば、なんとか帳尻が合う可能性はある。
 親が感情的になって強く言い過ぎると、子どもは反発して口論になる。子どもは、嫌々ながらも「後で宿題をやらなきゃ」と本当は思っていたのに、強く迫る親に対応するのに疲れてしまい、意欲がなくなってしまうのだ。それでも最終日には親の助けを借りて、なんとか終わらせる。提出がどうしても間に合わなかったという子どもも、実は珍しい。
 理想が無理な場合は、残る可能性でどちらがマシかを考えるしかない。どうせ土壇場で親の助けを借りて間に合わせるのであれば、本人の意欲が下がらない方がマシ。親は余計なことを言わない方がよいのだ。
 児童精神科の相談で常に上位を占めるのが、「親の過干渉で疲れてしまい、子どもがやる気を失っている」という問題だ。本人から「親に対応しているだけで消耗してしまう」と相談されることすらある。何かやろうとすると、親に止められる、細かいことを注意されて、意欲がなくなる。逆にやりたくないことばかりしろと迫られるので、口論になって消耗してしまう。いつも親への対応にエネルギーを使わなければならない状況では、健康なこころは育たない。
 家庭が安心して過ごせる場所となり、子どもが親対応で消耗することのないよう、気をつけたいものだ。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します