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<92>「スマホ育児」批判に一言

2017年04月26日
見ちゃだめ?

見ちゃだめ?

 今回は、一部から批判を受けることを覚悟の上で書かせていただく。

 「スマホ育児」なる言葉がある。スマートフォンやタブレット端末が育児に悪い影響を及ぼすのではないか、という印象を与えやすい言葉だ。かつては「テレビは教育上よろしくない」と言われたものだが、その現代版といえる。

 僕は先の東京オリンピックの年に生まれたので、いわゆる高度成長期に子ども時代を過ごしてきた。小学生の間はテレビが大好きで毎日見ていた。中学、高校のときは深夜ラジオ番組がはやっていて、眠いのを我慢して聴いていたものだ。若者の活字離れと漫画志向が問題視された世代で、大学生のときは駅の売店で売られていた漫画雑誌はほぼすべて発売日に買って読んでいた。50代の今も、毎週予約録画しておいたテレビ番組は週末にまとめて数時間は見ている。土日も朝から仕事のことが多いので、録画をまとめて見る日は徹夜になる。スマホは片時も離さず持っており、ときどき歩きスマホを妻に注意される。

 こんな僕に、スマホ育児を批判する資格はあるのだろうか? かつて批判されたようにテレビを見せると子どもが健康に育たないのであれば、僕などは育ち方を間違えた不健康な大人の代表だ。教育上よろしくないと言われたものをいっぱい見てきた。でも、他人からどう見えるのかは別にして、自分ではあまり不健康だと感じていない。休まず仕事もしているし、いろんなことはあるが、毎日それなりに楽しい生活を送っている。これまでの人生で起きている時間の3分の1くらいはテレビなどのメディアで浪費したような気がするが、別に後悔もしていない。

 好きなら、それでよいではないか? テレビやラジオや漫画があったおかげで今の自分があると思える部分もたくさんある。もしこれらがない生活を送っていたら、ずいぶんつまらないと感じるのではないか?

 おそらく、スマホ育児を批判する人たちは、スマホやタブレット端末があまり好きでない、あるいは苦手なのではないか。自分が興味を持てないもの、上達できないものに子どもたちが熱中し、みるみる上達していくのを見ると、不安になるかもしれない。スマホ育児を批判する一つに、「スマホを子どもに見せるから、親子の生身の交流が減る」という意見がある。しかし、親子が接する時間が減るのは、スマホが原因とはいえない。親子の交流をしようとしない親は、スマホがなくても交流の時間はきっと増えない。

 物議をかもすことを予感しつつ、次回に続く。

(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します