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<90>安全確保し言い訳聞く

2017年03月22日
どちらにも言い分があるの!

どちらにも言い分があるの!

 前回、子どもの言い訳を肯定する記事を書いたところ、それを読んだ妻から反論があった。「そうは言っても、危険なことをしているときは、いちいち子どもに意見なんて聞いていられないよね。四の五の言わせず、とにかくまず止めなければいけないときもあるんじゃないの?」と。
 その通り。僕も賛成です。え? 言っていることが矛盾してるのではないか? 恐妻家だから反論できないんだろうと? いえいえ、確かに恐妻家ですが、発言に矛盾はありません。
 人の行動には、必ず理由がある。子どもであっても、それは同じ。ただ、自分の行動が招く結果を予想する力は、子どもにはまだ不十分だ。
 例えば子どものけんかを止めるとき、「なぜ殴ろうと思ったの?」などと理由を聞いている暇はない。強い口調で制止したり、駆け寄って身体を押さえて止めたり、その行動を防ぐことが最優先される。「とにかくまず止めなければいけないとき」は、確かに存在する。
 でも、いったん安全を確保したら、やはり子どもの言い訳は聞くべきだ。人を殴ることはいけないと頭ではわかっていても、相手にひどい言葉を浴びせられれば殴りたくもなる。そのような気持ちを全否定されて一方的に叱られると、人は反発して冷静になれないものだ。子どもなりの言い訳を一通り聞いてみると、大人には見えなかったそれなりの理由が見えてくることもある。それに気づいてもらうだけで、子どもは自分の行動を自ら振り返り、反省するようになるものだ。
 まだ言い訳するほど言葉が発達していない乳幼児の場合は、行動のほとんどがその場の思いつきだし、問題が起きても因果関係はわからない。叱られてもその理由がわからないので、泣いてしまうだけで、反省もしない。このような段階の子どもには、言い訳を聞く必要もない(そもそも言い訳できない)し、叱る必要もない。「次回から気を付けよう」と思うことはないので、叱ることに全く意味はない。行動を制止し、再発を予防する。行動の制止は、身体を張って止める。例えば他児をたたこうとしている子どもがいれば、間に割って入って引き離す。再発予防は、しばらくはその子どもたちを離しておく。再び合流させるときは、必ず大人がそばに付き、けんかが再燃しないよう注意深く観察する。
 危険を回避するには迅速に行動すべき。でも、子どもに理由があるのであれば、後で言い訳の保証をする。このように、行動の問題と心の問題をはっきりと分けて考えておくことが重要だ。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します