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<88>公立校のルール緩和願う

2017年02月22日
どっちが好き?

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 集団生活には何らかのルールが必要だが、その集団の性質によってルールのあり方は異なる。参加するかどうかが参加者の意思に任せられているような集団では、その集団を運営する人たちが作ったルールに参加者が従うことに異論はない。「土足厳禁」というルールを作っている飲食店が不満なら、その飲食店には行かなければよい。しかし、参加しないことを選べない集団では、すべての人が共通して守りやすい最低限のルールにしておかないと、不公平になる。一般に、人種、性別、信教などを問わず多様な人たちが参加する公共性の高い集団ほど、ルールは最低限の共通項に絞り、個別の事情に対応する必要がある。

 公立の小中学校は、住む地域によって自動的に通う学校が振り分けられ、子ども自身が行きたい学校を選ぶ自由が制限されている。このように公共性が高く、参加しないことを選べない集団であるにもかかわらず、わが国の公立学校、特に中学校では、生徒全員に順守を強要するルールが多過ぎる。

 その最たるものが、制服だ。私立学校であれば、学校側が制服着用を義務づけていても、生徒がその学校の制服を気に入らなければ、その学校を選ばなければよい。しかし、公立中学校の場合、その中学校以外に選択肢がない生徒が多数いる。そのような公共性の高い集団で、一律に制服着用をルールにするのは、人権侵害だ。法的なことを調べてみると、「制服」ではなく「標準服」であり、着たくない生徒には着ない自由も保障されているそうだ。だから、皮膚感覚が過敏でどうしても制服の肌触りが苦手な生徒や、生物学的性別と心理的性別が一致しない「性別違和」の生徒などは、一切制限されることなく制服を着ない選択肢が保障されている。もっといえば、「制服が嫌い」というだけの理由で制服を着ない自由も保障されている。しかし実際には、学校から「制服を着ないと行事に参加させない」と言われたなどの話を今でもときどき聞く。公立中学校の教員たちの人権意識が問われるエピソードである。

 近年、自分たちの自由な活動を促進するために「規制緩和」を主張する動きが国際的にも盛んだ。すでに利益を得ている人たちがもっと利益を得るための規制緩和は促進されやすいが、抑圧されがちな少数派の人たちが正当な待遇を受けるための規制緩和こそむしろ急がねばならない。公共性の高い公立中学校で多様な生徒のすべてが快適に学ぶためにも、ルールの「規制緩和」をぜひ進めてほしい。(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)=「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します