前回までのあらすじ 68歳の夫と66歳の妻・裕美は、脳梗塞で倒れた認知症の母親・鈴(91)を身延町で「老老介護」している。鈴は明け方近くに叫び声をあげ、夫婦が慌てて駆けつけると、子どもがいなくなったとうわ言のように言った。ぽつりと続けたのは、大学を中退し、勝沼の農家に婿に入った一人息子・和雄の名。鈴は、「会いたいなぁ。会えるかなぁ」と表情を緩ませた。和雄もまた、鈴に会いたがっていた。...
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