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<83>目標、達成感やる気育む

2016年12月14日
寒さに負けずたくましく

寒さに負けずたくましく

 試練への対処のしかたにも個性がある。どんな困難にでも立ち向かっていく打たれ強い人もいれば、ちょっと誰かに注意されただけですぐにくじけてしまう人もいる。失敗しそうなことをうまく避けて要領よく振る舞う人もいる。
 「最近の若い人は我慢がきかない」と年配の人たちがぼやくことがある。「昔は厳しい指導にも歯を食いしばって耐えたものだ。今の若い人は、仕事でも勉強でも、ちょっと厳しくされるとすぐにやめてしまう」といった話を耳にすることは多い。叱る育て方や「俺の背中を見て盗め」といった指導法についてくる若者が少なくなったのは、事実だろう。でも、だからといって今の若者が昔に比べて仕事ができないというわけでもない。多くの困難を乗り越えて素晴らしい業績を上げる人はたくさんいる。
 人は、目標があるかないかでモチベーションが違ってくる。少し頑張ったらある程度の手ごたえを感じたという経験を繰り返していくことで、モチベーションが打たれ強さにつながっていく。目標がなかなか持てない環境で育った子どもや、親や教師から高すぎる目標を設定され、頑張ってもなかなか達成感を得られない経験を繰り返してきた子どもは、試練を克服するエネルギーが蓄えられにくい。多少なりとも打たれ強く育ってほしいと思うなら、子どもがまだ小さいうちは、なるべく身近で簡単にクリアできそうなことを目標にして、達成感を蓄積させ、モチベーションを高めていくような育て方をするのがよい。小さいときに無理な努力を強いると、達成感が得られず、かえって打たれ弱くなってしまう。
 打たれ強い人でも、打たれても平気な分野とそうでない分野がある。野球の練習ならどんなに過酷でも耐えられるプロ野球選手が、「学生時代に英語や数学の授業中は居眠りしていた」などと平然と言っていたりする。そんな野球選手は、数学の先生から見ると「ちょっと難しい問題を出されるとすぐにやる気をなくす打たれ弱い人」に見える。どの分野なら打たれ強く育つ可能性があるのかは、個人差がある。それを一人ひとりについて見定めることも重要だ。
 「今の若者は頑張りがきかない」と嘆く人たちの近くにいる若者たちは、その仕事に目標が持てていないのだろう。その理由は、育ってきた過程にあるのかもしれないし、与えられた仕事がその人に向いていないのかもしれない。あるいは、職場環境が若者に「頑張ろう」と思わせる魅力に乏しいのかもしれない。それを分析してみる必要がある。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します