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<82>個性は子にも親にも

2016年11月23日
親の個性も色とりどり

親の個性も色とりどり

 子どもに多様な個性があるのと同様に、親にも多様な個性がある。
 例えば、子どもの成績など全く気にしない親もいれば、学年で3番の成績でも「1番ではない」と怒る親もいる。外で友だちと遊ぶことを推奨する親もいれば、子どもが遊ぶことを禁じて勉強をたくさんさせたいという親もいる。それぞれの家に多様な子育ての方針や考え方があるのは、当然といえば当然だ。
 問題は、子どもの個性と親の個性がかみ合わないときだ。母親が子どもの頃からきれい好きで、インテリアや観葉植物を楽しみたいタイプなのに、息子は運動好きで家の中でも落ち着きなく走り回り、片づけが嫌いで室内を散らかし放題だと、互いにストレスが高くなる。他の家なら「男の子はそんなもの」と大目に見てもらえる程度の散らかし方でも、きれい好きの母親がいると常にチクチクと叱られることになる。このように、親子の相性によって、子育ての問題は軽くも深刻にもなり得る。
 子どもに何か気がかりなことが出てきたとき、親の対処のしかたの個性がその後の経過に大きな影響を及ぼす場合がある。例えば、子どもの成績が下降気味である、子どもが学校で他の生徒とけんかした、などの理由で担任の先生と本人と親とで面談をするときを想定してみよう。親が自分と子どもとの関係をどのように位置づけるかによって、その親の個性が見えてくる。子どもに何か事情があったのではないか、問題が起こったときに子どもは何を考えていたのか、などと子どもの視点に立って状況を把握しようとする親だと、子どもも親を信頼できる。でも、子ども側の事情も聞かずすぐに反省させようとする親だと、子どもは不信感を抱く。
 まれではあるが、「よい子育てをしているよい親であると周囲から認められたい」ということを育児の最大の励みにしている親がいる。このタイプは、自分自身がなかなか自信をもてずにいるという人や、もっと自分は認められてしかるべきだという不満を抱いている人が多い。もっと周囲から認められるための手段として、子どもを利用する側面がある。だから、子どもに何か問題があるとわかると、自分の立場が悪くなることを恐れるあまり、子どもの気持ちに立って問題解決しようという気持ちになれない。
 学校の先生たちから見ると、子どもの立場に立てない親は困りものと思うかもしれない。でも子どもの個性と同様に親の個性もそう簡単に変われない。先生たちが親と接するときも、親の個性に合わせた接し方を考える必要がある。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します