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<80>不登校 理由考え対応

2016年10月26日
さび抜きなら大丈夫

さび抜きなら大丈夫

 すしがどうしても食べられない子どもがいるとする。どうすれば食べさせられることができるだろうか。
 いきなり子どもの鼻をつまんで口を開けさせて、すしを口に放り込むようなことをする人は、さすがに少ないだろう。でも「出されたものはちゃんと食べなさい」などと言って食べることを強要する親はいる。それでも子どもが食べない場合や、食べても吐いてしまう場合には、子どもの体調不良を疑ったりする。実際に病院で胃腸炎が見つかり、治療してすしが食べられるようになることもある。でも、もし魚のアレルギーが見つかれば、すしを食べることは控えなければならない。
 食べられない理由は、子どもの体調だけではない。すしの材料の中に、その子どもが嫌いなものが入っている場合もある。生魚が苦手なこともあれば、酢の匂いが受け入れられないこともあるだろう。幼児では、わさびが苦手なことは多い。
 調理の問題もあり得る。魚の切り方、白飯の炊き方、酢の量、わさびの量などの理由で食べられないこともあり得る。この場合、問題があるのは作る側だ。
 子どもの行動には、何らかの理由があることが多い。すしを食べられない子どもに対して、すぐに食べさせようとするのは適当ではない。食べられない理由を考えれば、おのずと対応策はわかる。対応策の中には、「もっと子どもが食べやすいすしを作る」あるいは「すしは食べない方がよい」ということも含まれる。こうした判断をするためには、子どもだけでなく材料や作り手も要因に含めた分析が必要である。
 同じことが、登校しぶりや不登校でも言える。登校しぶりや不登校も、理由の分析なしに登校を強要してはならない。理由として子どもの心身の異常を疑う親や教師は多い。だから、児童精神科の外来は、登校しぶりや不登校の相談で受診する子どもたちであふれかえっている。
 しかし、子どもの体調不良が原因であることは、むしろまれである。すしの例になぞらえて考えてみると、材料にあたるのが教師や友だちや教科、調理にあたるのが学校で行われる活動内容だろう。実際には、これらのどこかに問題があることが最大の原因で学校に行けなくなっている場合が、圧倒的に多いのだ。問題の本質が子どもではなく学校の中にあるならば、子どもだけが受診しても問題は分析できない。登校しぶりや不登校について本当に対策を立てたいと思って病院を受診するならば、子どもだけでなく教師も一緒に受診するのが筋というものだろう。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します