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<72>遊びは思いきり楽しむ

2016年06月22日
思いっきり楽しもう

思いっきり楽しもう

 「よく学び、よく遊べ」という言葉が、最近では死語となりつつある気がする。皆さんは自分の子どもたちに言ったことはあるだろうか? 「遊んでばかりいないで勉強しろ」というせりふならいつも言っている、という人が多いかもしれない。
 遊びとは、それ自体が楽しいこと、それをすることこそが最大の目的であり、損得勘定を度外視できることである。「ゴルフは健康にいいスポーツだ」と語るゴルフ愛好家が太っていると、「健康にいいと言う割には…」と批判したくなる。でも、健康によかろうが悪かろうが、ゴルフは楽しければそれでいい。それが、遊びの本質だ。健康的に仕事をしている大人は、必ずバランスよく遊んでいる。仕事だけだと燃え尽きてしまう。そもそも、お金を得て遊ぶというのは仕事をする最大の動機のひとつだ。遊びのない大人は、ちょっとしたきっかけで仕事への意欲、ひいては生きる意欲が低下しやすくなる。遊びは、生きていく上でなくてはならないものだ。
 一方、子どもは勉強より遊びに比重が大きく傾きやすい。特にゲームやインターネットに没頭する子どもを、大人は快く思わない。遊び過ぎの子どもに「よく遊べ」などと言う気にはなれない。「勉強しろ」とだけ言えば十分だ、という大人の言い分は、わからなくもない。大人たちが子どもに求めるのは、「よく学び、ちょっと休め」くらいの感覚かもしれない。本来やるべきことは勉強であり、遊びは控えてちょっと休む程度でよいだろうということだ。
 ところが、今の子どもたちは、大人が思っているほど十分には遊んでいない。大人がいい顔をしないと、何となく後ろめたさがあるので、遊んでいても心から楽しいとは思えず、いくら遊んでも満たされない。僕の外来には、学校にせよ友達付き合いにせよ、いろいろなことを頑張り過ぎて疲れてしまい、意欲が低下してしまった子どもがよく訪れる。そのような子どもたちに「ゆっくり休むように」と助言すると、「どれだけ休んでも疲れがとれない」と言う。「休むだけでは足りない。思いっきり遊ぶ必要がある」と言うと、今度は「遊んでもいいの?」と驚かれる。このような子どもは、遊びに対して後ろめたさがあり、心から楽しめてはいない。
 心から楽しく遊ばないと、学ぶこと、働くことにも意欲がわかない。中途半端な遊び方だと、時間だけは長くダラダラと遊ぶが満足できない。「よく学び、よく遊べ」のスローガンは、今のような時代こそ必要かもしれない。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)

「ドクター本田のにじいろ子育て」は第2、4水曜日に掲載します