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<68>試行錯誤に口出しは無用

2016年04月27日
ボクにやらせて

ボクにやらせて

 はじめての挑戦は、やってみなければわからない。ちょっとやってみて、方針を変更し、また少しやってから方針を見直す。この作業を繰り返すことを「試行錯誤」という。いったん方針を立てても、間違いや失敗は常にあり得るし、予想外の事態が生じることも珍しくない。途中で気が変わることもある。試行錯誤とは、間違い、失敗、予想外の事態、気持ちの変化があり得ることを常に想定しながらも、何か方針を立ててやってみることだ。
 間違いや失敗から何かを学べたとき、あるいはそれを克服できたとき、人は大きく成長する。その意味で、試行錯誤は人の成長に不可欠だ。特に思春期の試行錯誤は、その人の人格形成に大きな影響を与える。進路選択だけでなく履修科目や部活の選択など、自分で考えて決めるべきことが、次々と出てくる。情報を集めることは大事だが、必ずしも情報が十分とはいえず、やってみるしかないというときもある。いったんはじめてみてから考えて、方針変更することだって、あってよい。そうした一連のプロセスを、自分で考え、納得しながら踏み進めていくことが重要だ。
 一方、思春期は、親からみるとまだまだ子どもだ。子どもよりも先が見えるため、親は心配のあまりつい口を出してしまう。明らかに失敗しそうなことを子どもがやろうとすると、やめさせようとする。不十分なことは、もっとやらせようとする。でも、いくらわが子を思う親心とはいっても、思春期の子どもに口出しすることは、子どもの試行錯誤の機会を奪うことになる。長い目で見ると、子どもを助けるのではなく、成長を阻んでしまう。
 何かをやろうとしている人が、誰かの助言を取り入れて方針を変更したところ、結局失敗してしまったとしたら、「あの時、自分の思った通りにやっておけばよかった」と後悔するだろう。中には「あの人が余計な意見を言ったから失敗した」と責任転嫁する人も出てきそうだ。一方、もし助言を聞き入れずに自分の思った通りにやって失敗したとしたら、どうだろう? 「あの時、助言を聞き入れておけばよかった」と後悔するよりも、「自分で考えてそう判断したのだから、仕方ない」と、案外サバサバして気持ちを切り替えるものだ。
 自分に当てはめて考えるとわかりそうなことなのに、子どものことになると「後悔しないように」と思って余計な口出しをしてしまうのが親の習性。余計な口出しをして後で子どもから恨まれることのないよう、気をつけたい。(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)=第2、4水曜日に掲載します