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<64>わが子の相談 どう対処

2016年02月24日
わかるわかる

わかるわかる

 脳科学的研究によれば、男性と女性では物の考え方のパターンが異なるそうだ。男性の方が論理的・問題解決志向的な物の考え方をする傾向が強く、女性の方が対人的・共感的な考え方をする傾向が強いという。そのような研究結果を日常生活に持ち込んだたとえとして、「解決脳」と「共感脳」という話を耳にすることがある。女性が男性に何かを相談したとき、男性はすぐにその問題の解決策を考えて助言しようとする。しかし、女性が本当に求めているのは助言ではなく、自分の話をゆっくり聞いてもらい、大変さに共感してもらうことだ、というのがよく見かける説明だ。
 なんとなく納得のいく話のように見えるが、実際にはそんなに単純ではないと思う。この説明では、なぜかいつも女性が男性に相談するという状況しか例に出されない。たしかに男性は女性から相談を受けると「自分が何とか解決に協力して、いいところを見せなければ」と思うので、すぐに助言をしたくなるのは事実かもしれない。でも、男同士で飲みに行って愚痴をこぼしあうときなどは、助言など求めずとにかく相手に話を聞いてほしいだけ、ということはよくあるのではないか。女性だって、いつも共感を求めるだけではないと思う。
 この話題について、いつも不思議に思うことがある。僕が診察室で会う子どもたちの母親に限って言えば、母親だから当然みな女性であるにもかかわらず、子どもの話に対してすぐに解決策を助言する人がほとんどなのだ。助言というよりは指示や命令に近い場合も珍しくない。例えば、友だちとけんかしてしまい、謝りたいけれどどうすればうまく謝れるかわからず悩んでいる子どもに、「『ごめんなさい』って言えばいいんだから、早く言いなさい」と助言したりする。対人トラブルに際して、誰かに話を聞いてもらい、共感してもらうことによって、謝るという行動を起こす気持ちの整理をつけるということは、「共感脳」の女性たちなら皆やっているはずではないのか? 自分が人に相談するときは共感を求めるくせに、自分の子どもに対してだけは「解決脳」になってしまうのだろうか?
 ひょっとすると、児童精神科を受診する子どもの母親に限って子どもに対して共感しないのかもしれない。受診していない子どもと母親の会話を僕が観察する機会は少ないので、偏っているのかもしれない。子どものいる女性の読者のみなさんは、わが子の相談にどのように対処しておられるだろうか?
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
 =第2、4水曜日に掲載します