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<62>プラス思考の手本示す

2016年01月27日

 「ポジティブシンキング」という言葉がある。ふつうだったら落ち込んでしまうような不運なことや失敗も、「これ以上悪くはならないから、これからは上向きだ」「この失敗があったからこそ学べたことがある」などとプラスに考えることを指す。その反対は「ネガティブシンキング」。何か良いことがあっても、「この程度では大したことはない」「今良くても結局はうまくいかない」などと、マイナスの方向に考えてしまう思考パターンだ。
 一般に、ネガティブシンキングをしがちな人は自信が乏しく、不安が強く、ストレスに弱く、挫折しやすい。うつ病や不安障害になると、そのような思考パターンに陥りやすい。多少のネガティブシンキングは慎重な態度や冷静な判断につながるので、すべて悪いわけではない。とはいえ、何でもまず否定的に見るという習性が強すぎると、生活が楽しくない。
 軽いうつ病の人たちが自分のネガティブシンキングのパターンを意識的に変えてみる練習をするような治療法もある。その代表が認知行動療法だ。いったん身についてしまったパターンを変えるのはそんなに簡単ではないように思えるが、やってみると意外にうまくいくこともあり、精神科では有効な精神療法のひとつとしてよく行われている。でも、できれば子どもの頃からポジティブシンキングの習慣が身についている方がよい。どうすれば子どもにポジティブシンキングの習慣が身につくのだろうか?
 子どもがネガティブシンキングに陥るのを避け、ポジティブなものの見方ができるようになるためには、親が子どもの前でなるべく常にポジティブシンキングしている様子を見せることが重要だ。ポジティブシンキングというとなんだか難しそうだが、ちょっとした工夫でずいぶん違う。その工夫とは、否定文や禁止の言葉を使わず、肯定文や提案の言葉を使って話しかけること、そして褒める機会を増やすことだ。
 例えば、遅刻した人に対して「遅刻しちゃだめじゃないか」と言っても、済んでしまったことはどうしようもない。こういうときは「次からは間に合うように来てね」と言えばよい。危ない場所に行こうとする幼児に対して「そっちに行っちゃダメ」と言うよりも、「こっちにおいで」と言えばよい。特に「ダメ」をよく使うお父さん、お母さんは、普段から「ダメ」と言いそうになったら、ちょっと立ち止まり、肯定文だとどう言えばよいのかを考えてみていただきたい。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
=第2、4水曜日に掲載します