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<61>社会性にもタイプあり

2016年01月13日
「社会性」もいろいろ

「社会性」もいろいろ

 「社会性がある人」と聞いて、あなたはどんな人を思い浮かべるだろうか? 逆に、「社会性がない人」と聞いて、どんな人を想像するだろう?
 わが国では社会性の有無がとても重視される。子育てでも、大人たちは子どもに社会性を身に付けさせようと懸命だ。ところが、「社会性とは何か?」と聞かれると、意外に難しい。実は、「社会性」というのは何かの専門用語というわけではない。和英辞典で「社会性」を調べると、「sociality」というのが出てくる。しかし、これを逆に英和辞典で調べると、「交際好き」「社交的な活動」「群居性」などの意味が書かれており、われわれが日常使う「社会性」とは微妙に異なる。いまよく使われる「社会性」は、交際好きであることや社交的であることよりも、協調性、思いやり、謙譲の気持ち、集団の和を乱さないこと、などの意味の方が強いように思われる。
 本当は「社会性」とは、広く「社会でうまくやっていける性質」くらいの意味なのではないか。とすると、一口に「社会性がある」といっても、いろんなタイプの人がいてよい。社会でうまくやっていける人は、必ずしも協調性のある人だけではない。自己主張が強くて協調性には多少の難があるという人でも、重要な話し合いで決して譲歩せずにうまく交渉ができるのであれば、社会性があるといってよい。リーダーシップをとるのが上手な人も社会性があるといえるが、そのような人が案外他者に合わせることが苦手だったりする。
 協調性さえあれば必ずうまくいくというわけでもない。運悪く、周囲にいる人たちが犯罪者集団だったとしたら、その人たちに合わせていると自分も犯罪の片棒を担がされることになる。そのような人たちとは一線を画して与しない分別をもつことも、立派な社会性だ。あるいは、意見が対立したときに安易に妥協せず、きちんと議論を戦わせることも必要だ。議論によってそれまで考えていなかった解決策が生まれることは珍しくない。目先の協調だけでは、そのような進歩は望めない。
 いま、親たちや教育者たちは、子どもたちに協調性ばかりを求め過ぎていないだろうか? もちろん協調性が1番の持ち味という子どもはそれを伸ばせばよいが、異なるタイプの社会性の方が育ちやすい子どもの場合は、協調性よりもその子の得意なタイプの社会性を伸ばすことの方が大事である。子どもたちの多様な社会性を伸ばし、多様な社会性のある人たちで構成される社会づくりを目指したい。
(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
=第2、4水曜日に掲載します