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<44>発達障害 適切な理解を

2015年04月22日

 「発達障害者支援法」が施行されて今年でちょうど10年である。近年では、一般の人でも「発達障害」という言葉を耳にする機会が増えたと思う。でも、言葉を聞いただけでピンとはこないという人も多いかもしれない。
 発達障害とは、乳幼児期から発達に何らかの異常が見られ、そのために社会生活に支障をきたす状態である。発達の異常で最もわかりやすいのは、「遅れ」であろう。歩行開始が遅い、発語が遅い、学習の進み方が遅いなど、大人たちは子どもが他の子どもに遅れをとることに敏感である。それ以外に、手先の不器用さ、チック、吃音など、遅れとはいえないような発達の特徴も異常に含められている。これらは、他の人から見るとたいした問題に見えないし、ちょっと頑張れば克服できそうに見えるため、問題を軽視され、小さい時から訓練で矯正しようと試みられることが多い。しかし実際には成人後も持続することが多く、本人は深刻に悩むことが多い。訓練で治そうと頑張れば頑張るほど、うまくいかなかった時に自信喪失し、抑うつ的になったり、ひきこもりがちになったりする。
 親のしつけに問題があるために生じた子どもの性格や情緒の問題と誤解されやすいものもある。その代表が注意欠如・多動症(ADHD)と自閉スペクトラム症だ。ADHDは極端にそそっかしい(落ち着きがない、衝動的、不注意)ことが特徴で、「我慢することを教えられていない」と誤解されやすい。自閉スペクトラム症は、微妙な対人関係が苦手(会話がかみ合わない、状況に合わない行動や発言をするなど)であることと、自分の関心、やり方、ペースの維持を最優先として融通が利かないことが特徴で、「常識を教えられていない」と誤解されやすい。
 発達障害に共通するのは、どんなに軽微に見えてもその特徴が大人になっても残ることが多いということである。当初は楽観的な親たちも、年齢が上がるとともに徐々に不安になり、焦りから子どもにきつく当たったり叱ったりすることが増える。それでも改善しないと、親子関係が悪くなるし、本人がどんどん自信を失っていく。学校でも、先生が「やればできるはず」と考えて子どもに無理な特訓を強いることや、親のしつけが悪いと責めることがある。
 発達障害は、正しい理解に基づいて適切な育て方と環境を保障することがとても大切だ。山梨県では、こころの発達総合支援センターなどが啓発活動を積極的に行っているので、ぜひウェブサイトなどをご覧いただきたい。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
 =第2、4水曜日に掲載します