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<42>親の制止がやる気に火

2015年03月25日
やめられない止まらない

やめられない止まらない

 人はいろんな理由で意欲を持ち、いろんな理由で意欲を失う。同じ条件でも意欲が湧く人もいれば、どうしてもやる気にならない人もいる。不思議なもので、同じことに対して皆が一斉に意欲を持つことはなかなか難しい。誰かがやる気になっているときは、他の人が冷めていたりする。意欲とは案外相対的だ。
 子どもの意欲は、大人よりもさらにデリケートだ。親から止められたことに限って、がぜんやる気になるという子どももいれば、人から言われないと全くやらず、意欲があるのかどうかわからない子どももいる。「やらないとひどい目に合う」などと親に脅されて渋々やるのも意欲といえば意欲であるが、親の監視がなくなったとたんにやめてしまうのがオチだ。通常、誰からも何も言われずにのめりこめるようなことにこそ最も意欲が湧くものだが、かといって十分にやりつくすと飽きてしまう。
 「もうちょっとやりたいのに」と思うくらいのところでやめると、明日以降に意欲が引き継がれる。逆に徹底的にやると、飽きて意欲が下がる。ゲームやインターネットのように親が快く思わないようなことは、子どもが「もうちょっとやりたいのに」と思う段階で親がやめさせようとするから、いつまでも意欲が高い。一方、苦手な勉強は、親がしつこく子どもにやらせようとするので、あっという間に意欲がなくなる。
 ここは、逆の発想をするのがコツである。苦手なことは子どもが「もうちょっとやってもいいのに」と思うくらいでやめておくのが、長続きの秘訣だ。ただし、親から見るとまだほんの少ししかやっていないのに子どもはすぐ嫌になるので、加減には相当気をつけないといけない。苦手だけれど嫌いでない状態で少しずつ学んでいくというペースがちょうどよい。一度嫌いになると、後から嫌いでなくなるのは難しい。
 ゲームなどはとことんやらせれば飽きる可能性がある。ただし、いくらやっても飽きない子どももいるので、とことんやらせ切ることも難しい。何かに熱中しているときは飽きるまで放っておく方がよいが、親はつい途中でやめさせようとしてしまい、結果的に子どものやる気に火をつけてしまう。
 これも、ものは考えよう。皆さんも胸に手を当てて考えてみれば、親の制止がかえってやる気に火をつける形でのめりこみ、それが今の仕事や趣味に生きているというようなことがあるのではないか。いくらやっても飽きないことは、それが将来も趣味として続くと思って達観するしかない。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)