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<39>「特別待遇」時には必要

2015年02月11日
特別な日…

特別な日…

 子どもが複数いる家庭の場合、親はどの子にも公平に接するべきだ。でも、頭ではわかっていても実行は難しい。最初の子どものときはたくさん写真を撮ったのに、下の子ではあまり写真を撮らなかった。公園では特定の子どもが好きな遊具につい偏ってしまう。上の子は厳しくしつけたが、末っ子には甘い。…思い当たる節がおありの方も多いと思う。
 子どもたちを公平に扱う手段としてすぐに思い浮かぶのは、すべての機会を平等に与えるという考え方である。お菓子は均等に分ける。家族で遊園地に出掛けたら、それぞれが好きなアトラクションを平等に全員で回る。何かをやる順番は交代制にする。多くの家庭で、このようなことをやっているはずだ。
 きょうだいの中の誰かだけが特別待遇を受けて良い思いをして、他の子どもたちが我慢させられるのは、フェアでない。でも、えこひいきは一切やってはいけないのかというと、そうでもない。実は、誰か一人だけの特別待遇は、時々は必要なのである。いつも親が一人で複数の子どもたちと同時に接していると、子どもの側からみたときに親とのスキンシップを十分受けたという実感が持ちにくい。2人ならば二分の一、3人ならば三分の一の割り当てしかないような感覚になってしまう。自分一人が親を独占して心ゆくまで楽しむという体験は、子どもの健康的な心の成長に不可欠だ。それを保障するためには、子どもが一人で親を独占できる時間や場面を、すべての子どもに対して意識して作らねばならない。
 例えば、どこかに出掛けるにしても、いつもみんな一緒なのではなく、ある日は誰かだけを買い物に連れて行く。別の日曜日は、別の子だけと映画を見に行く。他の子たちは留守番となるが、自分にも親を独占できる日があるとわかれば、他のきょうだいに譲ることにも寛容になれる。
 みんな一緒の活動ばかりだと、全員が不満もないが微妙に満たされない感覚を残す。全員がそれぞれに特別待遇を受ける機会を保障されると、十分な満足感、達成感を得られる機会を持つことができる。親が一人一人の子どもを個性があり大事な存在であると思っていることを実感し、子ども側から見ると親がいつも自分のことを気にして愛情をかけていると明確に実感するためにも、すべての子どもに「自分だけの特別待遇」を体験させることが重要だ。もちろん、特別待遇の機会はすべての子どもに公平に保障すべきであることは言うまでもない。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
 =第2、4水曜日に掲載します