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<38>「キリの良さ」を目安に

2015年01月28日
あともうちょっと…

あともうちょっと…

 皆さんは子どもの頃、時間のたつのも忘れて何かに熱中したことはないだろうか? ゲームを夢中でやっていてあと少しで攻略できるというとき、あるいは推理小説を読んでいてあと数ページで犯人がわかるというところで、夕飯の時間になり親から早く来るよう促されたという経験は、誰でもあるだろう。
 そのようなときに、時間を守って行動することを優先する子どももいれば、やっていることをキリの良いところまでやってしまいたいと思う子どももいる。一方、親の多くは、夕飯の時間になったら子どもが何をやっていようとも途中で切り上げさせようとする。その結果、時間を守る子どもは褒められやすく、キリの良いところまでやろうとする子どもは叱られやすい。
 現代社会では、時間を守ることと仕事をきちんとこなすことの両方が要求されることが多い。しかし、これらは必ずしも両立しない。このときどちらを優先するかは、状況によって異なる。後回しにしてよい事務仕事に没頭し過ぎて大事な商談に遅刻することは許されない。一方、医者が手術をするときは、どんなに時間がかかっても最後まで手術をやり遂げないといけない。
 一流の専門性や技術を習得している人たちは、時間を気にせず一心不乱に取り組んだという経験が必ずある。自分で納得の行くまで考え、試行錯誤しながら目標を達成する。そのプロセスが、成長には欠かせない。時間を守ることはたしかに重要だが、時間を重視し過ぎると専門性を極める才能の芽を摘んでしまう可能性もある。すべての人が時間ばかり気にしていると、独創的な仕事や専門性の高い技術は生まれにくくなるのかもしれない。
 時間を守ることが苦手な子どもに対しては、時間で行動するよりも活動のキリの良さを目安にして促すとうまくいくことがある。夕飯の時間になってから「今やっていることを即刻やめて食卓につくように」と指示しても途中ではやめられないが、「もうすぐ夕飯の時間だから、今やっていることがキリの良いところまできたら、そこでやめて食事にしよう」と指示すると、うまくいくかもしれない。本であれば、今読んでいる章の終わりで切り上げるようにする。でも、つい次の章を読み始めてしまう子どももいるので、その場合はそばについてキリの良いところですかさず促すとよい。
 時間を守ることを優先するタイプか、キリの良さを重視するタイプか、お子さんのタイプによって接し方を工夫してみることも重要だ。(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
=第2、4水曜日に掲載します