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<32>「ずるい」は我慢のサイン

2014年10月22日
個性を大事に

個性を大事に

 前回、子どもに苦手なことを強要するのは大人によるパワハラだという話をした。今回はその続きである。
 好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、苦手なことは、人によって違う。だから、みんなで同じ活動をしていても、それをどのくらい楽しいと思うか、あるいは苦痛に感じるかは、個人差が大きい。学校などで何かのプログラムに一斉に取り組んでいるときに、一部の子どもたちが苦痛を感じているのであれば、その子どもたちには無理強いしないで別のプログラムを用意するべきだ。
 しかし、そのような個別の配慮を嫌がる先生(つまり、パワハラ教師)がまだいるらしい。僕が外来で会う子どもたちからは、そのようなパワハラに遭って学校に行けなくなったという話をよく聞く。先生たちはこんな言い訳をすることがあるらしい。「他の生徒から『○○さんだけずるい』と言われるから、特別扱いはできません」と。
 もし給食にケーキが出たとして、1人だけケーキが苦手な生徒がいても、「その生徒だけはケーキを食べなくてよい」という特別扱いを「ずるい」という生徒は少ないはずだ。「○○さんだけずるい」と言う生徒がいる場合、その生徒自身もそのプログラムをつらいと思っているのではないだろうか? ならば、その生徒にも特別な対応をすべきだ。そんなことしていると示しがつかないという先生がいる。みんなが「ずるい」と言ったらどうするのだと。みんなが「ずるい」というのであれば、プログラムの設定自体に無理があると考えるべきであろう。ちょっと考えればわかることだ。
 誰かを「ずるい」という生徒は、自分自身もつらいのに我慢している。その我慢を誰にも相談できずにためこんでいると、他の子どもへの攻撃性へとつながり、いじめが起こりやすくなる。つまり、パワハラ教師が運営する学級はいじめの温床にもなりやすい。子どもたちの健康な成長を保障するためには、すべての生徒が苦手なことを強要されず、個性に応じた対応を受けていると感じられるような集団生活を考えることが、大人の責務である。
 最後に告知をひとつ。11月20日(木)午後2時から、甲府市総合市民会館芸術ホールで、「子どもの発達スタイルに応じた子育て」というテーマの講演をいたします。申し込み方法などの詳細は山梨県立こころの発達総合支援センターのウェブサイト内の「平成26年度子どもの心の総合支援研修のご案内」に掲載されています。お誘い合わせの上、ぜひおいでください。(本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部 診療教授)
 =第2、4水曜日に掲載します