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<28> 子どもの視点で「叱る」

2014年08月27日
しょぼん…

しょぼん…

 近年、子どもを叱るのはよくないという風潮がある。一方、「今の自分があるのは、親が叱ってくれたおかげだ」と思っている大人が多いことも事実である。「子どもは叱って育てないとろくな人間にならない」という意見を述べる親にも、しばしば出会う。子どもがよくないことをして、誰も叱らないでいると、子どもは社会常識や倫理観を身につけ損なってしまうのではないかと心配だ。叱ることについて、多くの大人たちが迷っている。
 「叱る」と似た行動は、たくさんある。「指摘する」や「注意する」は、冷静でニュートラルな感じ。「とがめる」「責める」「非難する」は「叱る」に近いが、相手のために行うよりも自分に非がないことを強く主張するニュアンスが強い。「ののしる」「糾弾する」「つるし上げる」などになってくると、もはや相手への攻撃だ。「怒る」は、行動ではなく感情である。「怒る」と「叱る」とが混同して使われることがあるが、それは、自分の怒りを我慢できず、不満を解消するために子どもを責めたてることを「叱る」と混同するのである。「叱る」という言葉だけには、相手のために行う教育的行動あるいは思いやりに基づいた行動というニュアンスがある。
 叱ることの是非を考えるときには、「子どものため」という視点が重要だ。自分の感情のおもむくままに相手を攻撃するのは、虐待だ。逆に、よくない行動をとる子どもに対して、そのことを全く指摘せず傍観しているのも、「子どものため」という視点がない点では同じで、これはネグレクトである。
 「子どものため」という気持ちは、当の子どもに伝わらなければ全く意味がない。叱るのであれば、「この人が叱るのは自分のためを思っているからだ」と子どもが感じるように叱るのが理想だ。そのような叱り方であれば、1回で子どもは改める。だから、叱り方の上手な親は、実はめったに叱らない。同じことで何回も叱るのは、子どものためでなく自分の怒りを解消する行為でしかない。これだと子どもはピンとこないか、かえって反発してしまう。
 叱るのが上手な親は褒め上手でもある。本当に自分のことを思ってくれる人は長所もしっかり見てくれることを、子どもたちは知っている。そのような人をこそ、子どもは信頼するし、叱られると「自分のためを思ってのことだ」と直観的にわかるのである。
 子どもと接する機会の多い大人の皆さん。ご自分の「叱り方」を時々じっくり見直してみていただきたい。
 (本田秀夫・信州大付属病院子どものこころ診療部長)