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2009年8月25日(火)

連載・選択の夏 第4部「地域から問うマニフェスト」
【3】 農業振興
担い手不足解消見えず 「実情に合わせた施策を」

ブドウの手入れをする果樹農家。農業の衰退に歯止めをかけるため、農産物ごとのきめ細かい政策が求められている=南アルプス市沢登
 
 整然と区割りされた水田に青々とした稲が育つ、山梨県のコメどころ北杜市武川町。大型機械を使った稲作に対応するため、1979年から農地集積と農道整備が進められてきた。「跡継ぎ世代のために」と進められた土地改良事業だが、願いを受け止めるはずの若者の多くが古里を後にした。

FTA推進懸念

 「この辺りでは80代の現役農家も多い。このままでは産地の維持は難しい」と地元農家の牛田重昭さん(79)は嘆く。「農機も入れないほど狭い田んぼを改良したい」と30年ほど前、当時自民党国対委員長だった故金丸信元副総裁を頼った。金丸氏の後押しもあり、国の支援を受けた事業は着実に進んだ。しかし現在の収入は、作柄が良い年でも1・3ヘクタールで200万円ほど。子どもに「継いでほしい」とは言えない。
 農家の高齢化や後継者不足に歯止めが掛からず、65年度に73%だった国内の食料自給率は、2006年度に39%まで下落。08年度は41%まで回復したものの、農産物の国際価格上昇など外的要因が大きかったことから「手放しの評価はできない」(農林水産省)状況だ。
 自民党は衆院選マニフェストに自給率50%への回復を掲げ、「地域の希望に沿った農村公共事業の充実」や「二毛作への支援」を推進する姿勢を打ち出す。
 民主党は、農畜産物の販売価格と生産費の差額を農家に支給する「戸別所得補償制度」を目玉に据えた。コメなど主要穀物の完全自給を目指す。
 主要農産物を重視する方向性では両党の政策は一致する。だが農業衰退の根底にある担い手不足の抜本的な解決策、収入アップに直接つながる政策には踏み込んでいない。日米貿易自由化(FTA)の交渉を推進するとした民主党の政策に対しても、「安価な農産物に押されてしまうのでは」という農家の不安は小さくない。

景気に収入左右

 一方、山梨は農業生産額(2008年)のうち果樹が55%を占める。南アルプス市の桃・スモモ農家佐野昇さん(80)は各党の農業政策について「コメなどの主要農産物に比べて果樹への支援策が少ない」と感じ、投票先は「福祉や医療などの政策を重視したい」と話す。
 11日に韮崎市で開かれた公開討論会で、山梨3区に立候補している自民党の小野次郎候補は「山梨の農業はコメ、穀物、果樹、野菜、酪農、畜産がある。首都圏の食卓の半分を山梨の農産物で担うことも夢ではない。全国一律の農政から転換が必要」と、コメ以外の農業にも配慮する姿勢を見せた。
 民主党の後藤斎候補は戸別所得補償制度が対象外とする果樹や野菜について、「保険方式の所得補償を検討している」と党内で議論していることをアピール。農家の収入が基準収入を上回った時に積み立て、冷夏などで減収になった場合に引き出す方式などがあるという。
 摘果や摘蕾らいなど細かい手作業が必要で大規模農業に向かない上、嗜好しこう品としての側面が強く、景気や天候に収入が左右されやすい果樹栽培。県果樹園芸会の小林正毅会長は「農業離れに歯止めがかからない中、地域の実情に合わせた柔軟な政策を打ち出してほしい」と話す。


 
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