2009年8月10日(月)
86万人の視線 =郵政選挙から4年= 年金記録漏れ、落ち込む納付率… 「百年安心」色あせる看板 老後プラン見えぬまま
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甲府社会保険事務所の年金相談窓口。年金改革は国政選挙で毎回のように争点になるが、県民の不安は消えない |
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「12年間も未納?」。笛吹市石和町河内の川野裕さん(50)は、社会保険庁から昨年届いた「ねんきん特別便」の加入記録を見たときの衝撃を、きのうのことのように覚えている。
A3サイズの通知は、1979年から91年まで、国民年金保険料が支払われていないことを示していた。小学校の非常勤講師や学習塾の経営など、職を変えた時期だったが「学生時代を含め、保険料はしっかり納めていたはず」。そう思い、社会保険庁に再審査を依頼したが、いまだに回答はない。
両親と妻、子ども3人の7人暮らし。年金が受け取れる年になれば、子どもは独り立ちしているはずだが「高齢の両親を介護する出費が生じるだろう。年金だけで夫婦二人が安心して暮らせるとは、とても思えない」。年金の“空白”期間が指摘されたことで、制度への不安を現実として受け止めるようになった。
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社会保険庁が「宙に浮いた」年金記録の持ち主を探すため、一昨年から送った「ねんきん特別便」。県内分は今年5月までに約68万通に上った。発送数とともに、各社会保険事務所の来訪者は増え、2008年度の年金相談者は11万2914人で、特別便が送られる前の年(06年度)の1・6倍になった。
「年金記録問題への対応を最優先した結果」(山梨社会保険事務局)は、国民年金保険料の納付率に影を落とす。県内の昨年度実績は70・7%で、2年続けて落ち込んだ。景気悪化による失業や収入減が追い打ちをかけていて、09年度に好転する兆しはない。「年金が必要な人のために納付する意義は感じる。でも今の制度では自分の番になったとき、受け取れる保障がない」と川野さん。現役世代の保険料で高齢者を支える「賦課方式」に限界を感じるとともに、国が掲げた制度の「百年安心」という看板は色あせて見える。
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年金制度改革は、国政選挙が行われるたびに争点の一つに位置付けられてきた。今回の衆院選も、自民党は現行制度の改善、民主党は抜本的な改革をそれぞれ訴える。年金記録問題は早期決着を図る考えを示しているが、川野さんは「各政党のマニフェスト(政権公約)を見ただけで、子どもの代まで豊かに暮らせる、と確信はできない」と、現実的な工程表の提示を求める。
現在、市内の病院に作業療法士として働く川野さん。デイサービスに通う患者のリハビリに付き添う。最近、お年寄りから「年金が減らされて、とてもやっていけない」「介護保険料がまた上がった」という声をよく聞く。毎日顔を合わせるお年寄り、そして家族の豊かな生活につながる社会保障制度の実現を願い、一票を投じる。(文中の名前は仮名)
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