2007 夏の甲子園 山梨大会
試合結果
最終日
甲府商が44年ぶりに甲子園切符
高校野球県大会 甲府工に6‐2


甲府商が約半世紀の時を超えて歓喜のV−。第89回全国高校野球選手権山梨大会最終日は28日、小瀬球場で公立の伝統校同士による決勝戦が行われ、甲府商が6−2で甲府工に勝利。参加39校の頂点に立ち、44年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めた。優勝は44年ぶり5度目。甲府商は2点を先行されたが、四回に打線が奮起。大勝誠也、後藤和博、渡辺貴幸、杉本和樹の4連打で4点を奪い、逆転した。七回には石原優太のスクイズで貴重な追加点を挙げ、八回には大勝の適時打でダメ押し。エース・米田易弘も粘り強く2失点完投した。甲府工は立ち上がりこそ流れをつかんだが、五回以降は打線がつながらず、創部初の夏の大会連覇はならなかった。
決 勝



甲府工
甲府商 ×


白球夢
集中打浴びエース動揺
甲府工、連覇の夢絶たれる


 連覇の夢を絶たれた甲府工ナインは、ベンチ裏の通路で泣き崩れた。ある選手はぼうぜんと壁に寄りかかり、ある選手は拳を握りしめて大粒の涙を流した。「俺たち、頑張ったよ」。堤広輔主将の声が薄暗い通路に反響した。
 「経験の差だよな。こっちは去年の秋の大会から負けてばかり。向こうは春の関東で準優勝した。その差が出たのかもしれないな」。原初也監督は淡々と敗戦を受け入れた。
 四回、先発の石合翔が崩れた。二死から甲府商の下位打線から連続長短打を浴び、あっという間に4点を失う。「(石合は)打たれ始めるとシュート回転してボールが甘く入ってくる癖がある。それが出てしまった」と小俣大捕手は唇をかんだ。大一番でエースに生じた動揺。石合は「精神的に弱かったのかもしれない」とうなだれた。
 打線も、回を追うごとに勢いを増した甲府商のエース・米田易弘のペースにはまった。原監督は「『俺がやってやる』っていう、強い気持ちがなかったんだよな」と言う。五回以降、先発メンバーは無安打。「受け身になったら苦しくなると思った」という指揮官の予想は、くしくも的中してしまった。
 足早に球場を去ったナインは、誰もが「今は何も考えられない」とつぶやいた。甲子園のグラウンドに立つ姿を信じ、すべてを注ぎ込んだ夏。石合は声を絞り出すように、最後につぶやいた。「あの舞台にもう一度、立ちたかった」−。

【全国高校野球選手権山梨大会決勝 甲府工−甲府商】ピンチにマウンドに集まりエース石合翔(中央)を励ます甲府工ナイン

熱闘譜
強豪連破、一戦ごと成長
甲府商、精神力武器に古豪復活


最後の打者を左飛に打ち取り、マウンド上で誇らしげに両腕を広げる2年生エース米田易弘に捕手の遠藤勇哉が抱きつく。2人を中心に甲府商ナインの輪が広がり、抱き合って喜びを分かち合った。
 堀内恒夫(前プロ野球巨人監督)らを擁して出場した第45回大会以来、44年ぶりに手にした甲子園切符。長く閉ざされていた扉を開いた布施正臣監督は試合後のインタビューで「44年間我慢してくれた皆さんに感謝している」と、震える声で球場の甲府商ファンに伝えた。
 3試合連続で逆転勝ちしてきた甲府商ナイン。逆境で培った精神力が大舞台で強力な武器となった。序盤に2点を失ったが、動じなかった。我慢強くチャンスを待ち、四回に米田の安打を口火に打線が爆発した。
 8番大勝誠也の左中間三塁打で1点差とすると、9番後藤和博が「流れを止めたくない。思いっきりたたいた」と、右中間を破る二塁打で続き、まずは同点。勢いはさらに加速し、1番渡辺貴幸が「このまま終わらせたくない」と執念の中前打で、一気に逆転に成功した。
 さらに2番杉本和樹もヒットエンドランのかかった5球目を右翼線に運び一走の渡辺を迎え入れ4−2。試合の流れを一気に引き寄せた。後藤は「準決勝も逆転していたので、追いつく自信はあった。チームの持ち味が出せた」と胸を張った。
 2年生エースも優勝の原動力となった。「意識し過ぎて入れ込みすぎた」(米田)と、四回までに7安打を浴び、2失点という苦しい立ち上がりだったが、我慢の投球で打線の援護を待った。逆転後はしり上がりに調子を上げ、強打の甲府工に付け入るスキを与えなかった。米田は「打線が逆転してくれると信じていたので、粘り強く投げられた」と打線に感謝した。
 今春は特待制度問題で強豪校不在の中、頂点に立った。夏は3回戦で昨秋の覇者・富士学苑を撃破し、準決勝で東海大甲府、決勝は前回覇者の甲府工を破った。布施監督は「周囲の評価はいろいろあったと思うが、これで本当のナンバーワン」と古豪復活の手応えを確かに感じていた。

【全国高校野球選手権山梨大会決勝 甲府工−甲府商】7回裏甲府商1死三塁、石原優太がスクイズを決め、5−2とする=いずれも小瀬球場

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