強豪連破、一戦ごと成長 甲府商、精神力武器に古豪復活
最後の打者を左飛に打ち取り、マウンド上で誇らしげに両腕を広げる2年生エース米田易弘に捕手の遠藤勇哉が抱きつく。2人を中心に甲府商ナインの輪が広がり、抱き合って喜びを分かち合った。 堀内恒夫(前プロ野球巨人監督)らを擁して出場した第45回大会以来、44年ぶりに手にした甲子園切符。長く閉ざされていた扉を開いた布施正臣監督は試合後のインタビューで「44年間我慢してくれた皆さんに感謝している」と、震える声で球場の甲府商ファンに伝えた。 3試合連続で逆転勝ちしてきた甲府商ナイン。逆境で培った精神力が大舞台で強力な武器となった。序盤に2点を失ったが、動じなかった。我慢強くチャンスを待ち、四回に米田の安打を口火に打線が爆発した。 8番大勝誠也の左中間三塁打で1点差とすると、9番後藤和博が「流れを止めたくない。思いっきりたたいた」と、右中間を破る二塁打で続き、まずは同点。勢いはさらに加速し、1番渡辺貴幸が「このまま終わらせたくない」と執念の中前打で、一気に逆転に成功した。 さらに2番杉本和樹もヒットエンドランのかかった5球目を右翼線に運び一走の渡辺を迎え入れ4−2。試合の流れを一気に引き寄せた。後藤は「準決勝も逆転していたので、追いつく自信はあった。チームの持ち味が出せた」と胸を張った。 2年生エースも優勝の原動力となった。「意識し過ぎて入れ込みすぎた」(米田)と、四回までに7安打を浴び、2失点という苦しい立ち上がりだったが、我慢の投球で打線の援護を待った。逆転後はしり上がりに調子を上げ、強打の甲府工に付け入るスキを与えなかった。米田は「打線が逆転してくれると信じていたので、粘り強く投げられた」と打線に感謝した。 今春は特待制度問題で強豪校不在の中、頂点に立った。夏は3回戦で昨秋の覇者・富士学苑を撃破し、準決勝で東海大甲府、決勝は前回覇者の甲府工を破った。布施監督は「周囲の評価はいろいろあったと思うが、これで本当のナンバーワン」と古豪復活の手応えを確かに感じていた。 |

【全国高校野球選手権山梨大会決勝 甲府工−甲府商】7回裏甲府商1死三塁、石原優太がスクイズを決め、5−2とする=いずれも小瀬球場
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