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新しきに備え次代開く

2018年01月01日 06時50分

山梨日日新聞社社長 野口英一

 明けましておめでとうございます。2018(平成30)年の新春です。今年は明治維新から150年に当たるとともに、来年の天皇陛下退位と改元を控え、平成の事実上の集大成と言える節目の年となります。
 十二支の「戌」、十干の「戊」で、60年に1度巡ってくる干支は「つちのえいぬ」に当たります。
戌は十二支の11番目で、果実が成熟した状態の「酉」の後で、作物を刈り取り、まとめることを意味すると言われます。犬が忠実で社会性があり、お産が軽い動物であることから、何かを生み出すには良いとも言われます。
 過去の戌年をみると、日本国憲法公布(1946年)、東京タワー竣工(58年)、大阪万博開催(70年)、中央自動車道全線開通(82年)、オウム真理教による松本サリン事件発生(94年)、VF甲府J1デビュー(2006年)など、時代の変化を象徴したり、節目となる出来事が目に付きます。
 今年の戌年に目を転じても、日本という国家の在り方を変えた明治維新からの年月と、翌年には平成が新たな元号に変わるという、二つの時間軸が交差する年です。節目に当たり、これまでの歩みを踏まえつつ、新たな胎動に備える準備の年でもあると言えます。
 「温故知新」(故きを温ねて新しきを知る」にならえば、新しきに備える「温故備新」で次代を開く時と位置付けたくなります。
 国内では、今年半ばごろに新しい元号が決定し、9月には安倍晋三首相が続投に意欲を見せる自民党総裁選が行われます。2年後の憲法改正を目指す首相の下で、改憲論議も本格化しそうです。
 翌19年に向けては、皇太子さまの天皇陛下への即位や改元の準備が進みます。同年10月に予定される消費税率10%への引き上げをにらんだ動きも出るはずです。
 県内では19年2月に任期満了を迎える知事選、甲府市長選に向けた議論や動きが、今年夏ごろから活発化するとみられます。後藤斎知事、樋口雄一甲府市長とも1期目の仕上げの年となる一方、自民党系などから対抗馬を擁立する動きが出るかもしれません。人口減や少子高齢化が進み、県土活性化の手探りが続く中、次代の山梨を占う大事な年になるでしょう。
 「ミレーの美術館」として全国的に有名になった県立美術館が開館から40周年となるのも今年です。1月から2月にかけては、全国高校総体(インターハイ)のスケート競技大会と、冬季国体スケート大会が山梨で開かれます。
 胎動と準備の年-。「温故備新」精神で対応するには、過去の歴史や体験に学ぶだけでなく、新たな発想で課題に向き合い、解決へ挑む姿勢が大事になります。
 県内外を見渡せば、北朝鮮の脅威の中での安全保障強化と外交努力、少子高齢化で膨らむ社会保障費と税収確保、止まらない人口減と山梨など地方の創生、建設が進むリニア中央新幹線のプラスとマイナス…と、対立する概念が横たわっています。これらの二項対立をどう調整し、乗り越えていくか-。そのためには、国家の持続可能と人々の暮らしの安定・向上を念頭に置いた、政治や人知の結集が問われます。
 「安倍1強」路線での政権の暴走を防いだり、改憲問題など国論を二分するテーマで徹底した議論をしたりする必要性はあるでしょうが、難題に向き合う中で、与野党が超党派で「解」を探すような取り組みも欠かせません。それが現代の混迷を乗り越え、新しいものを生み出し、次代を切り開く力になると思うからです。
 その点、民衆のエネルギーが新時代を到来させた明治維新や、携帯電話やインターネットなどの普及で人々の生活スタイルが大きく変化した平成の時代に学ぶ部分もあると思います。
 明治維新から4年後に発行が始まった山梨日日新聞は昨年の創刊145年を経て、4年後には150年という節目を迎えます。来年末には紙齢5万号に到達します。新聞と近代日本の歩みを重ね合わせて、守っていくものと変えるもの、いわば「不易と流行」を探っていきます。
 本紙はこの間、読者との信頼関係を大事にし、郷土・山梨の発展を意識して、県民への情報発信に努めてきました。現在は紙の新聞に加えて電子版を充実させるなど、時代の変化と次代への対応を念頭に入れた取り組みを進めています。
 胎動と準備の年。県民が山梨に住んで良かったと実感でき、県外からも移住したいと思ってもらえる、希望が見える県土づくりに一役買えるよう、新聞社として全力を傾注していきます。