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山頂研究室 存続ピンチ

2017年12月29日 05時00分
大気汚染物質などの調査を行う研究者=富士山頂(7月、大河内博早稲田大教授提供)

大気汚染物質などの調査を行う研究者=富士山頂(7月、大河内博早稲田大教授提供)

 富士山頂の富士山特別地域気象観測所(旧富士山測候所)で、NPO法人「富士山測候所を活用する会」が11年続ける研究や観測が、資金難で継続が危ぶまれている。活動費に充てる民間企業や財団の助成金などが減ったためで、今年は前年の3分の1以下の300万円にとどまった。毎年7、8月に「大気化学」「高所医学」などの分野で20を超える研究が行われていて、研究者は「国内最高峰でないとできない研究があり、中止となれば大きな損失」として支援を求める。〈清水一士〉

 同観測所は、気象庁の富士山測候所として常駐観測が行われていたが、2004年に無人化された。同所で研究活動を行うために、05年11月に約50人の研究者らがNPO法人を設立。気象庁から借り受けて07年夏から使っている。
 観測所は標高3776メートルの最高点・剣ケ峰にある。同法人が高地での検証やデータ収集が必要な研究テーマを会員らから募集。夏季に研究者が滞在するなどして大気汚染や高山病、火山予知など20~30の研究が行われている。
 同法人によると、観測所で行った研究に基づき発表された論文は57本、学会発表は520回(11月30日現在)。国立環境研究所が行う二酸化炭素(CO2)の通年観測で、CO2濃度の上昇を確認するなどの成果が出ているという。
 運営費は、観測所の電気料金や麓からの機材の運搬費、人件費など合わせると年間約3千万~4千万円に上る。大半を民間企業や財団などの助成金が占め、会費や寄付金収入も充てている。
 最近は長期にわたった大口助成金の打ち切りが相次ぎ、2015、16年度の約1千万円から17年度は約300万円に落ち込んだ。同法人担当者は「来年の予算が確保できず、研究や観測が続けられるかは不透明だ」と話す。
 研究者からも不安の声が上がる。早稲田大創造理工学部の大河内博教授(環境化学)は約10年前から富士山頂で大気汚染物質「PM2.5」などを研究。「富士山頂は独立峰で中国などからの汚染物質を正確に採取できる」と意義を強調する。
 今後は助成制度がある団体を探して申請するほか、個人や企業などを回って寄付を集めて継続を目指す。同法人理事で江戸川大の土器屋由紀子名誉教授は「富士山頂での研究は多岐にわたり、貴重なデータが得られる。研究が途絶えないように支援を募っていく」と話している。