森の妖精はグッスリお休み




お尻を向けて冬眠するヤマネ

 寒さが続く中、朝起きるのが辛くて、このまま冬眠してしまいたい、と思っている方はいないでしょうか。

 寒くなる11月から4月までの半年間も冬眠しているうらやましい動物がいます。ヤマネです。身長約8センチ、体重約18グラムで、目がクリクリした愛くるしい小動物ですが、夜行性で、木の上で生活しているため、めったに人前に姿を現すことはありません。しかし、50万年も前から生息する地球上で最古のほ乳類なのです。

 生息地は本州、四国、九州と広い範囲に及んでいますが、今、このヤマネに絶滅の危機が襲いかかっています。

 ヤマネはそのちっちゃな体に比べて、生息に必要な森の面積は2万平方メートル、甲子園球場の半分にもなります。食性は雑食で、起きている半年間は、季節の変化に応じて、植物や昆虫を食べています。しかし、近年、杉や桧などの偏った植林で、食のサイクルが狂わされてしまいました。

 もう一つ、ヤマネにとって大きな脅威があります。森を分断する道路です。木の上で生活し、木の枝を渡って移動するヤマネは、広い道路が建設されると、対岸の森に行くことができません。人間が移動のためにつくる道路が、ヤマネにとっては移動を妨げる障害物になっています。


ヤマネたちの横断歩道橋

 放っておけば、誰も知らない間に絶滅してしまいそうな小動物ヤマネの生態を研究し、保存活動している団体があります。北杜市高根町清里にある「ヤマネミュージアム」です。湊秋作館長は小動物が道路を横断できる”橋”を提言し、1998年に世界で初めて八ヶ岳横断道に”ヤマネたちのための歩道橋”を設置しました。

 「ヤマネミュージアム」では、雄のヤマネの冬眠を観察することができます。50万年を生き抜いてきたヤマネは人間のさまざまな身勝手さをよそに、ただひたすら気持ちよさそうに寝ています。


ヤマネミュージアム



掲載の文字情報、写真には著作権があります。
許可なく転載する事を禁じます。
Copyright (C) 2006 THE YAMANASHI NICHINICHI SHIMBUN